今日はプロが使っている塩についてです。
塩といっても種類は様々。岩塩、海塩、湖塩、サラサラの精製塩、中にはクレイジーソルトやハーブソルトのようなハーブや香辛料がはいったようなものまで多種多様にあります。
目次
プロってどんな塩を使っているの?
人によって使う種類に幅が有りますが、先輩に直接伺った中では大体1種類から3種類位に収まりました。世の中には10数種類を使いこなすコックさんもいらっしゃいます。
私は使ったことの無い塩よりも普段から使い慣れてる塩を使うほうが味も安定するので用途に応じて4種類を使い分けています。
肉や魚に下味を付ける場合には伯方の塩の焼き塩
これは粗塩を焼いてサラサラにした塩で、下味を付けるのに適しています。粗塩のままでは水分を含んでいて食材に振るには使いづらい上に苦味が残っているので味が微妙に変わるんです。その点焼き塩なら炒ってあるので苦味が少なく、味もまろやかなので使い勝手が良いです。
参考→伯方の塩焼き塩
塩田に浮かぶ塩の華ゲランド産のフルール・ド・セル
ブルターニュ地方のゲランド塩田で自然光と風の力で作られる自然塩です。フルール・ド・セルはフランス語で『塩の華』という意味。
塩田に最初に出来るフレーク状の塩の結晶で、塩の分子の結合が緩く素早く素材の旨みを引き出してくれます。それに身体に塩化ナトリウムが残りにくい。健康面を考えると最高の塩で一流の料理人達がこぞって使用しています。
うちのレストランではフルール・ド・セルをお肉や魚料理の仕上げにパラパラっと振りかけます。食べるとカリッ、サクッと口の中でこのフルールドセルが食感に違いを出してくれていいアクセントと程よい塩加減を演出してくれます。食材の旨みをグッと引き出してくれて、素材の甘みや旨みを存分に感じることが出来ます。
ちなみに伯方の塩もフルール・ド・セルを作っています。かなりお値打ち価格ですね。
他にもイングランドの東部エセックス地方で作っているマルドン塩田で作っているフルール・ド・セルやフランスはカマルグ産のフルール・ド・セルもあります。
広島県下蒲刈島の海人の藻塩
藻塩は広島では蒲刈で作られる藻塩が有名です。これはホンダワラという海藻を濃い塩水につけて乾燥させてを繰り返して塩分凝縮を繰り返していきます。それを釜に移して炊き出したものがこの藻塩になります。海藻を煮出して作っているので旨み成分強くてとても美味しい塩です。
これはうちのレストランで鯛の塩釜ローストを作るときに生地の中にタップリ入れてます。海草を煮出して作る塩なので海草に含まれるミネラル分と旨み成分が入っているため、塩を舐めると複雑な旨みが口いっぱいに広がります。勿論魚介類との相性はバツグンです。
参考→海人の藻塩
赤穂の天塩の水塩
赤穂の天塩(あこうのあましお)。水塩の名の通り水に解けた塩で、私達で手作り出来ないほど超濃い飽和水溶液です。どうしても自分が作った塩水だと、塩味が丁度良くなる頃には素材の味が薄まってしまうので調整が難しいのですが、この水塩はかなり濃いので素材の味が薄まることなく味を決めることが出来ます。またキャップにメモリが付いているのでどの位入れたかも一目で分かる安心設計。本当に超便利です。
レストランでは主に冷製のスパゲティやスープの味を調節するのに使用しています。
参考→赤穂の天塩 水塩
今日のくくり
- 伯方の塩 焼き塩
- ゲランドのフルール・ド・セル
- 下蒲刈産海人の藻塩
- 赤穂の天塩の水塩
以上がうちのレストランで使っている塩です。家庭で使う塩も精製塩ではなく、こういった塩達を使うことで一層料理が美味しくなりますよ。
なんでもこういう小さな差の積み重ねが大きな違いを生むんです。スーパーの塩コーナーでも色んな塩が販売されているので色んな塩を使ってみて自分に合った塩を見つけるのも楽しいですよ。
それでは今日もディ・モールト楽しい料理を。