2010/03/25
次世代ハードミニマル
最近のミニマル(主にハードグルーヴ界隈)の流れについて、頭が整理できたので書きます。(3/30追記)本記事の対象範囲は以下の図の通りです。下記記事を参照します。
2009年ハードグルーヴ~ミニマル界隈雑感
http://keif.blog46.fc2.com/blog-entry-155.html
上の記事で、最近のハードグルーヴ界隈の音は大きく三つに大別できると書きました。以下に再掲します。
- Dubfireを頂点とするMinusレーベル寄りのゆるいミニマル派。
- Drumcode/CLRを中心とするダビー硬質ミニマル派と、その源流としてのOstgut Ton/Blueprintレーベルを初めとする、ハードミニマルへの再アプローチ派。
- UmekやChristian Smithをリーダーとし、プログレッシヴハウスを取り込みつつあるイタリアンミニマル派。
「音数」と「音の硬さ」という軸で考えると、上記の流れが捉えやすいことがわかりました。上記1, 2, 3はこれ以降の図に表れる(1), (2), (3)に対応します。
2005~2006年に起きたことは以下のとおりでした。上記記事から引用します。
1990年代中期以降に主流となってきたハードミニマル・スタイルが様々な要素を取り込みながらどんどんと拡大・発展していきましたが、その表現形態も 2004年前後には飽和してきて、ハードミニマル・スタイルの延長にて新たな表現を獲得することは困難を極めていました。そんな中、ディープミニマルの延長として、ドイツを中心に発生したミニマル・スタイルと融合が始まり、さらなる進化が始まったのは自然な流れだったと言えます。
図で表すと以下のようになります。
ドイツを中心に発生したミニマル・スタイルに引っ張られることによって、「音の硬さ」はぐっとソフトな方へ向かい、「音数」は少ない方へと向かいました。(同時に「BPM」も低いほうへ向かいました。)
2007~2008年は多数のコンポーザがスタイルを変革し、その中で自らの新たなスタイルを確立していった時期であり、全体的に混沌としていました。BPMを落としたことにより、表現に対する制約事項が減り、トラックひとつひとつが多くの要素を有するようになりました。それにより曲同士の親和性は高くなり、DJは様々なスタイルを取り入れていきました。(そのせいで、どのDJも同じように聞こえる、という事態に陥っていましたが。)
2008~2010年には、膨らんだ(1)の風船が破裂し、2つの流れが顕著になってきたように見えます。下図に示します。
図で示すとおり、「音数」と「音の硬さ」という軸で考えると、(2)も(3)も、(1)と比較して、旧来のハードミニマルに近づいていると言えます。「BPM」という軸を持ってくると、それは依然として低いままではありますが。
また、最近は、旧来のスタイルを貫いてきていたコンポーザの一部が以下の図のような流れで(2)や(3)に流入して言っているのが興味深いです。
今後の流れについては、以下のAやBのようになると思っています。
A. 各スタイルが融合して旧来型のハードミニマルに帰着する。(ただしBPM軸はずれていて、旧来のものよりも遅い。)
B. 「音数」や「音の硬さ」とは別の軸が発展し、それぞれ別の方向を目指す。
最初の図のようなドラスティックな変化は、あと数年(3~5年くらい?)はこないのではないでしょうか。表現形態が飽和していないので、まだまだ幅は広がると思います。
以上、(2)や(3)のようなスタイルの音をクリックと呼ぶのには、もう既にそぐわなくなっている。もうそろそろハードミニマル、次世代のハードミニマルと捉え、そう呼んでもいいのではないかというお話でした。
これだけで終わるのも何なので、次回は(2)をもうちょっと細かく分解してみようと思います。(3)はあまり詳しくないので、これ以上は勉強しないと無理かなあ。(自分のスタイルがぶれてしまうので、なるべく避けてます。)
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