2010.07.25
朝まで生テレビ「若者不幸社会」について、まとめと感想
金曜日の深夜の朝まで生テレビ「若者不幸社会」の放送、終わりました。ご視聴のみなさま、ありがとうございました。
近いうち、もう少し詳しく課題と解の方向性をまとめますが、よくわかったことは、問題の共有がパネリストの間でも十分ではない、ということでした。
今回、整理したかった「若者不幸社会」の状況は、以下の通りだと考えています。
1. デフレ、低成長下における就職困難
2. 1の結果として、将来不安、若年層の格差拡大、平均所得の減少
3. 2の結果として、「低成長下でも幸せなライフスタイル」の模索
4. 3の状況による、世代間の価値観の乖離
1は、日本の産業構造変化の発展ステージ、人口動態および政府の財政・金融政策の稚拙さにより、起きていると考えます。若者にとっては、完全に外部要因です。
2は、1の結果生じた必然ですが、ただ、新卒一括採用や正社員と非正規社員の格差問題がそのことを助長しています。
3は、若者が自衛のため、行っています。正社員や公務員希望者の増加、専業主婦願望の増加、低所得でも楽しめるライフスタイルへの希求、などです
4は、1と2の要因を理解したくないのか、認めたくない中高年齢層と、3の若者とでの価値観の対立です。特に、今回の朝生では、そこの部分が際立っていました。
この段階に従って考えると、解の方向性は以下の通りでしょう。
1については、デフレ脱却が必要です。円高是正、インフレターゲットなどにと番組内で触れたのは、そのためです。
2については、1の有無に問わず、将来不安をとりのぞくこと、格差拡大を防ぐことが必要で、そのためには労働規制改革と、地方分権が大きな二つの柱になります。
3については、もうすこし詳しいデータが必要でしょう。所得と幸福度の関係、将来展望と幸福度の関係、どのような優先順位で幸せを考えているのか、文化的なバックグラウンドをどこまで担保すべきなのか、などです。
4については、最後までかみ合わなかった部分です。経済成長と雇用が柱だとする中高年と、そうではなく自由であると考える若年層と感じました。
そして、1~4に対して、私が考えるキーワードは新陳代謝、です。どうしても社会は強者が既得権となり、結託した構造を作り、若者を含む弱者を排除する傾向があります。
このことを防ぐためには、既得権で非効率的なところは弱まり、新規で効率的なところの力は強まるようなエコシステムを社会に埋め込む必要があり、それは
「すべての人が参加できる公正な競争市場の構築」
と
「すべての人のミニマムな幸福を担保する社会保障の構築」
以外に、今は私は解を持っていません。
前者は規制緩和の問題であり、非効率的な税金配分を一刻も早く正すことです。また、教育投資の拡大と、教育の機会を徹底的に平等にすることです。労働規制改革やFTAなどもここに含まれます。
後者は生活保護制度の再設計、最低賃金水準の見直し、税制の見直しなど、広範な範囲での再配分の見直しが必要です。ミニマム・インカムの設計も含むでしょう。
頭の中にあるフレームワークをうまく、放送内で説明できなかった自分がもどかしいです。もっと、書きものとおなじくらい、自由に話をできるようにならないといけないといつも、反省します。
また、この流れについて、もう少し深掘りした議論を、書籍かどうか、もう少しまとめていきたいです。