アベノミクスのからくりを週刊ポストが指摘。実質的法人税率はすでに25%
2015年 02月 23日
■大新聞はアベノミクスをおおむね評価しているようだが、普通に生きている日本国民で、アベノミクスによって暮らしが良くなったと感じているのは少数派ではないのか。本日発売の週刊ポストが『アベノミクスの恩恵企業に「免税特権10兆円のからくり」という特集を組んでいる。
■日本の法人税は外国に比べて高いとマスコミは報じるが、週刊現代の計算では「本当の税率はすでに25%」で決して高くない。2月17日、政府は法人税を2年間で3,29%さげる税制改革法案を国会に提出した。これによって、地方税をあわせた法人税は現在の約35%から16年には31%に引き下げられる。じつはこれにとどまらず、経団連は3年をめどに25%にまでひきさげるべきと画策している。
■財務省の国際比較によると、日本の法人税率はアメリカの約41%より低いが、フランス(約33%)、ドイツ(約30%)、韓国(約24%)、イギリス(23%)と比べると、全く違う数字がでている、という。
連結決算で2兆4410円もの税引き前純利益となったトヨタは、(なんと)5年ぶりに法人税を納付したが、実際に負担した税率は22.9%、キャノンが27.6%、武田薬品工業は18.8%。法律で定められた税率よりはるかに低い。
■これら3社だけが特別ではない。詳細は週刊現代を読んでいただくとして、日本では中小企業を中心に7割が赤字で税金を払っていない。払っているのは主に大企業だが、「減税上位」にある企業と、自民党への「献金上位」の企業が符号している。租税特別措置法という例外をもうけて、「救済」しているのである。
一方、国民の実質賃金は18ヶ月さがり続けている。大企業に厚く、庶民には薄い。これがどうも現実のようだ。
■ところで、こういう実態を大マスコミは報じない。報じても小さく報じる。そのため、アベノミクスで景気がよくなったと思い込んでいる国民も多い。根拠もないのに、そう思い込まされている。「国民はアベノミクスの欺瞞に目を開くべきだ」と週刊ポストは結論づけている。
エコノミストはもちろん、政府関係者も霞ヶ関の官僚も、「他人を豊かにすることで自分も豊かになる」「貧は社会的コストが高くなるので作らない」と一貫して主張してきた渋沢栄一の爪の垢でも飲んで欲しいものだ。
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