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海の中では収束進化でカニ化が進んでいた。もしかしたらカニ型宇宙人が存在しているかもしれない?

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海の生き物のカニ化が進む / Pixabay

 収束進化(収斂進化)は、統の異なる生物種間で類似した形質を個別に進化させることを意味するが、どうやらカニの形状は理想の究極ボディの1つであるらしく、海の中ではさまざまな種がそれぞれ独自にカニの姿に進化しているという。

 これを「カニ化(carcinisation)」と呼ぶのだそうだ。

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ネット上で疑問解決

 ネットは発見の宝庫である。自分で直接目にすることができなくても、代わりにそれを確認してくれる人がどこかにいる。世界各地からそうした情報が日々寄せられている。

 例えば、ぷぅと膨らむフグはどうやって膨らむかご存知だろうか? 風船なら空気で膨らむが、海の中に膨らむくらいたくさんの空気なんてあるのだろうか?そんなモヤモヤした疑問もほら、こちらの報告を見ればスッキリだ。

フグが空気で膨らむはずがないってずっと思ってたのよね。

 だが、ここでのテーマはフグではない。カニだ。

収束進化の一種「カニ化」

 自然界では、お互いに関係がないはずの生物同士であっても、それぞれ独自に同じような形状や機能を進化させることがある。これが収束進化だ。

 たとえばクジラとコウモリは、それぞれ海と陸というまったく違う環境で暮らしながらも、反響定位という音の反響を受け止め、それによって周囲の状況を知る能力を進化させた。もっと身近な生物なら鳥や昆虫が(もちろんコウモリも)空を飛ぶ能力を身につけた。

 収束進化が起きる理由は、似たような環境や生態的地位で生きるために似たような解決策にたどり着くからだ。

 海の中では今、様々な種が独自にカニの姿に収束進化しており、それを「カニ化(carcinisation)」と呼ぶのだそうだ。

甲殻類は少なくとも5回、独自にカニの姿に進化したんだって。

カニ化とは、甲殻類が非カニ形状からカニ形状へと進化する収束進化の一事例。進化生物学の用語としてこれを考案したL. A. ボラデイルは、「カニに進化しようとする自然によるいくつもの試みのうちの1つ」と定義する。

 水の中においてカニ形状は非常に効率的であるらしく、これまで十脚目(エビ・カニ・ヤドカリなど)に属すグループが少なくとも5回、それぞれ独自にカニの姿に進化してきたと考えられている。

カニ化に関するTwitterの反応

 カニ化に関するTwitterユーザーの反応は面白い。中には宇宙にカニ型宇宙人がいる可能性すら浮上した。

イモムシも同じだよ。蠕虫(ぜんちゅう)には9つの門がある。とても幅広いグループで、みんなまったく無関係。なのにイモムシはうじゃうじゃいるでしょ。

蠕虫とは、数種の無脊椎動物の総称で、扁形動物、環形動物、紐形動物、線形動物、星口動物、ユムシ動物、鉤頭動物、有鬚動物、毛顎動物がいる。

知ってた:環境から似たような選択圧を受けている種において、収束進化は珍しくない。
カニカニ:何もかもがカニカニカニ。

男の理想のカラダ。いまいちと思っても、パフォーマンスを追求すればこうなる。

カニじゃないカニダマシ、そういうことか。理想の体は50%以上が武器ってことね。

宇宙的恐怖をひとつ。炭素ベースの生物が生存できる水温の流体力学が一貫していること、宇宙に生命が高確率でたくさん存在すること、これらからおそらくは知的カニ型宇宙人が数種いるだろうと推測できる。

カニのライフサイクル
率直に言って、不合理なほどの段階を経て成長するが、そのいずれもカニである。

カニのライフサイクル
段階は1つ。
これこそカニである。

スタート 移動中

宇宙人がやってきたら、2つの可能性がある。
1. 彼らは宇宙カニである。
2. 彼らは宇宙カニから逃げてきた。

つまりカニ型宇宙人が存在する可能性は高いってことだな。いいぞ。

 尚、既にカニの中には、イソギンチャクとの共生を進化させ、両ハサミにイソギンチャクを付けたキンチャクガニという凄い属が存在する。

 彼らはイソギンチャクをボクサーのグローブ代わりに使用し、その毒で捕食者を追い払う。イソギンチャクは代償としてカニの食べ残しをもらえる。

A Boxer Crab that Wears Sea Anemone Boxing Gloves

 めったなことじゃこのグローブ(イソギンチャク)を手放すことはないそうだが、無理やり片方のイソギンチャクを奪い取るとどうなるか?

 なんと残った1つのイソギンチャクを器用に半分に引き裂き、失った方のハサミに装着するそうだ。

 2つに分かれたイソギンチャクは、数日のうちに元の大きさに再生し、元のイソギンチャクのクローンが新しく誕生するのだという。

 では両方のイソギンチャクを奪い取られたらどうなるのか?仲間のキンチャクガニのイソギンチャクの1つを必死に奪い取り、それをまた2つに割って両ハサミに装着するという。

References:People Are Just Now Discovering Carcinization, And They Are Not Huge Fans | IFLScience/ written by hiroching / edited by parumo

追記(2022/04/27):2020/10/30の記事を再送してお届けします。

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この記事へのコメント、104件

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  1. キンチャクガニが持ってるイソギンチャクは、カニに挟まれてない状態では見つかってないらしい。謎すぎる。

    1. >>2
      つまり相利共生か寄生であり、カニの世代交代にイソギンチャクも同期してる可能性がある、ということか

      飼育できればわかるかもな

      1. >>36
        カニは一つのイソギンチャクをちぎって二つに増やしてる
        イソギンチャクを失ったら他のキンチャクガニから一つ奪ってちぎって増やす

    2. ※2
      カサネイソギンチャクの仲間ではないかともいわれているよ。
      カニがはさむことにより形態が変化し白く突起がなくなる。
      逆にカニから外して隔離しておくと野生のカサネイソギンチャクの姿に戻った

      という論文がある。

    3. >>2
      テレビで見ただけの情報だけど、手頃なイソギンチャクを持って剪定してあんな形にしていっちゃうって聞いたよ~
      いざという時には食べちゃうんだとか

  2. 海においてカニが理想形であったとしても、類似環境の異星にカニ形知的生命体が文明を築けるかと言われるとどうなんだろう

    人間の形は理想形でなく単純な四季にすら耐えられない。だからこそ人類は道具を用いる知能を発達させ、生き延び、文明を築いた
    カニ形が理想形であるならばむしろ理想形であるが故に道具を不要とし、ある程度以上の知能を持ち得ないのではないか?

    1. ※3
      野生で行きてた猿が道具を使い初めて文明を築き、弱い遺伝形質も生き延びるようになった結果の進化が人だから逆では?
      まぁ進化と退化を対立概念と捉えたり過程と結果がごっちゃになるのは進化論あるあるだけど…

    2. >>3
      人間は弱かったので生き残る為に知能や手を発達させたけど生存に適しているなら別にそんなのいらないんですよ。
      知能が高いからって優れているとは限らないのは人間が思い切り証明してますし。

  3. ナメクジなんかも別のグループのカタツムリから進化した種が複数あるらしいな

  4. つまり火星で見つかったカニっぽい形状の地球外生命体はそれを表す為の存在だった?

  5. そういえばタラバガニはカニと呼ばれていても厳密にはカニじゃなくタラバガニ科というヤドカリの仲間だと聞いたことがある。

    カブトガニも甲殻類にみえるけどクモの仲間らしいし、水中で泳がない場合は殻をまとった方が有利ということなのか。

  6. 貝殻を捨ててカニ化するヤドカリ類が多い中でカイカムリなんかはカニからヤドカリになろうとしているがカニである

  7. カニの目についての考察
    1.サムネのカニーの目がすごくカワイイ
    2.動画のボクサー・クラブの目がどこかわからない

  8. 記事だと良くわからないので検索してみた。
    要するに「これまで十脚目(エビ・カニ・ヤドカリなど)に属すグループが少なくとも5回、それぞれ独自にカニの姿に進化してきた」というところだけ読めばよかったんだね。

  9. 収束進化の概念は、地球に非常によく似た環境の他惑星における生命も、地球のそれと似通った形態になることを示しているのかな?

    1. >>22
      実際に地球外生命体が発見されて、その理論の検証がなされるのが楽しみですね。

  10. カニは食べるのも見るのも好きだったけど、その事由はこれだったか
    トゲトゲの攻性甲冑、自在な移動を叶える脚、手であり武器であるハサミ、くりくりキュートなお目々。しかも美味しいとくればうん、嫌いになる要素がない。

    1. ※24
      「カニ」まとめ
      ・外骨格でそこそこの防御力
      ・物を掴める上に攻撃にも使用できる頼もしいハサミ
      ・素早く移動できる脚
      ・隠れやすい扁平な体
      ・砂に埋まったままでも外が見られる柄付きの眼
      ・腹部は弱点なので折りたたんでガード、もはや隙なし
      ・殻の中でエラ呼吸!陸上での活動もある程度可能
      ・選べるオプション(泳げる脚・擬態グッズ保持用の脚・イソギンチャク・トゲ付きの殻etc.)
      カニはこんなにも合理的!カニ化は必然

      1. ※44
        なるほどw
        おそらくカニ型宇宙人は何度も外宇宙に進出しただろう。
        でもタコ型宇宙人に捕食されてその度絶滅してるのであった。

      1. ※56 いらねーよそんな饅頭!スベスベマンジュウガニだろーが。有毒なんだからな!

    1. ※26
      パペラキュウ
      あれは、カニ型人かな。

      そういえば、先月最終回だった。

  11. イモムシ形状の良さはなんとなくわかるけど
    カニの何がそんなにいいんだか

    1. ※27
      疑問を持つことはいいことです。
      きっと外骨格、多脚構造、武器、潜望鏡のような目でしかも複眼・・・こんなとこかしら

  12. 大型のカニも脳が小さいから宇宙人はどうかな
    生きるのに最適な形状なら知能も要らないしな

    1. >>30
      全ての生物はカニに帰依し
      カニはハンバーガー屋へと進化する。

  13. H.G.ウェルズの『タイムマシン』でも、遠い未来世界でカニのような甲殻類が地球の覇者になってたような。
    誰も確認することはできないが、案外ウェルズの予言通りになったりして

  14. トップ絵のやたら目がでかいカニってなんていうカニなんだろうかに

    1. >>35
      完全に同意w
      動画冒頭から爆笑したw
      チアリーダーのなぞのポンポンじゃんって思ったし
      動画の音楽と横揺れな動きがフラダンスっぽいしww

  15. 水の底で生きるのに適するのはカニ型に行きつくって話なのに
    なんで宇宙生物の話になるの?

    新幹線が高速で走るために進化していっても
    宇宙船が新幹線型にはならないでしょ

    1. ※39
      1、生物は色々な素材で作られる可能性があるけど
      現在知られている生物、地球の生物は皆水由来の生物なので
      水のある所が生物の居る可能性が高いだろう
      2、深海ならば過酷な温度変化や宇宙放射線から守られるだろう
      3、地球の海底熱水鉱床ようなものがあれば
      太陽の代わりのエネルギー供給源になるだろう
      以上の事から地球外生命は海底に居る可能性が
      1番高いだろうと言われているよ。

  16. 前に、イソギンチャクがヒトデを見て逃げ出す動画見たけど、イソギンチャクはクマノミとかキンチャクガニを個体認識して、こいつは大丈夫だからって攻撃も抵抗もしてないって事なの?

  17. エビはシッポを使って後ろ方向に素早く移動するが、カニはシッポをなくした代わりに横移動が早い。多分シッポがない分軽量化でき、その分足に肉をつけることが出来、エネルギー効率もよいということなのかもしれない。実際に陸上に進出しているのはカニで、エビは陸上に進出してない。ザリガニも長時間陸上はムリ。ただ、節足動物は地球の陸上ではヤシガニ以上に大きくなれないので、宇宙生物がカニ型だったとしても重力が小さい星出身じゃないといけない。上の文章の理論でいえばウジ虫、芋虫型生物のほうが宇宙には普遍的に存在すると思われるが・・・

    1. >>50
      でも古代はヤシガニよりも遥かに大きい節足動物もいたんじゃなかったけ巨大昆虫とか

  18. じゃあ何で美味しくなるように進化しちゃったんだ
    可食部位を減らす、毒を持つ、不味くなる、何れかの特徴を持てば食べられず繁栄できたのに

      1. >>81
        彼ら自身が美味しい食糧にあり付けてることの証左でもあると思う
        繁栄の証やね

  19. ユゴス星から来た菌類がカニ型なのはそういうわけか
    カニ最強‼︎

    1. >>59
      この内容を書き込もうとしたら、もう書かれていた。
      ひょっとして俺が書いたのか?

  20. 癌化?
    と思ったら癌化のほうはcancerationというのか
    (カニ=キャンサー=癌)

  21. 結局収斂進化でカニと同じ形態を得た動物って記事中に具体例なかったね

    1. ※75
      良かった・・・同じ意見の方が居てくれた
      これはSNSの紹介だね

    2. ※75
      ん?
      > これまで十脚目(エビ・カニ・ヤドカリなど)に属すグループが少なくとも5回、それぞれ独自にカニの姿に進化してきた
      って書いてあるじゃん

      具体例だとタラバガニ(ヤドカリ科)とかもかなり有名だと思うけど

  22. 意味は同じかも知れないけど収斂進化って言われないとピンとこない
    収束進化の方が今のスタンダードなのか?

  23. “甲殻類においては”でしょう
    外骨格生物にとっては理想形かもしれんけど骨が中にある動物からするとどうだろうね?

  24. 外骨格の動物は巨大化できない・・・と思ったけど、水中なら関係ないか。
    肥大化した脳を収める甲羅と精密な制御が可能なハサミを持つ異星知的カニの発見に期待だな!

  25. 人類も収束進化で似たのが色々いたけどホモサピエンス(現人類)がびっくりするぐらい好戦的で他を根絶やしにした説あるよね。

  26. いろんな系統の生き物がよく似た姿かたちになるのよね
    あのね 皆気付いてないけど 街中の雑踏にも別の系統からきた人に似て人にあらざるものが混ざって…
    おや? 誰か来たのかな…

  27. カニ型宇宙人、といえば金星人というか金星ガニ。

    …まあ、あれはカニというにはちょっと微妙な形だが、60年くらい前の映画ということを考えたら仕方ないか。。

  28. 一方カニ型宇宙人の住む惑星では、猿から進化した知的生命体の存在可能性が議論に上がっていたのである。

    1. ※90
      地球人がカニ型宇宙人と出会ったとき、猿蟹合戦の新たな伝説が始まるのです

  29. How it started と How it’s going のミームを「スタート」「移動中」と訳すのは違うんじゃない?
    始まりはこうで今はこんな感じ、みたいな意味合いでは?

  30. 収束進化ってサイとトリケラトプスの事だよな
    サイってどう見ても恐竜だもんな

  31. 目の前で『カニって美味しいよね』ってカニみそ啜ってみたい

  32. 地球外知的生命体は人型よりも、カニかワームに手とか触手がくっついたような見た目の可能性が高いのか
    虫嫌いは宇宙外交官にはなれないな

  33. 扁形動物は文字通り扁平なので蠕虫状かと言われると怪しい
    有鬚動物門はかなり前に、ユムシ動物門と星口動物門は近年環形動物門に統合された
    毛顎動物門はどちらかというと魚類と収斂関係にある

    砂礫の間にすむようなミクロな生物にとって、隙間を縫いつつ体積を確保するには前後に延びる=蠕虫状に収斂していくから、
    それなりのサイズかつ基質を這い回る生態であればカニ型が最も安定してるということなのかな

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