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20
YUKARI
『Echo』
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韓国人女性によるアンビエント風味のエレクトロニカ。キュートなウィスパーでPOISON GIRL FRIENDとかDream DolphinとかYUKA MIYAMOTOとか思い出して懐かしい。メッセージ性は皆無。ひたすらドリーミー。



19
王舟
『Wang』
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ceroや奇妙礼太郎は聴いていられないのに王舟のアルバムは大好きだ。なぜだろう。楽しい曲が多いけど彼の声は乾いていて押しつけがましくないので「つるんでる感じ」がない。軽妙な口笛のインスト「Dixi」は自分が作ってるミニコミのテーマ曲にしたいぐらい好きだ。ミニコミという言葉、死語にならないよう積極的に使いましょう。スカート『サイダーの庭』も佳曲揃いだったがボーカルにクセを感じて聴き込めなかった。澤部くんってあんな山崎まさよしみたいな歌い方だったっけ。



18
チロリン
『チロリン・アンソロジー1986-1987』
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新・チロリンに不満があったので、オリジナル・チロリンの再発がすごく嬉しい。「チョコレイト戦争」の12インチしか持ってなかったのですごく嬉しい。チロリンが好きなんや。時代はエクボ堂やで。「ベリーにね(途中途中)ファインにね(途中途中)」とか歌ってる途中で羽交い絞めにして「なんの途中やねん」と一喝したくなる。その不思議な魅力について全曲言及したいが、それは定年後の楽しみにとっておこう。島崎夏美さんが恵比寿でお店をやっていることもこの機会に知りました。



17
ライムベリー
「IDOL ILLMATIC」
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事務所移籍&メンバー脱退という激動期を経てようやくドロップされたライムベリー渾身のアンセム。E TICKET PRODUCTIONこと桑島由一さんの命を削っているかのようなリリックとサウンド・プロダクトのダンサビリティが圧巻。唯一無二のガールズ・ラップ・スクアッドのスキルは健在。何度も言うけどライムベリーは彼女たちと同年代の女の子たちに訴求するプロモーションをすべきだ。ライムベリーのCDを「アイドル」ではなく「J-HIPHOP」のコーナーに移すことから旋風が巻き起こるだろう。



16
豊田道倫
『Non Stop 93』
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1993年に「パラダイス・ガラージ」と名乗っていた豊田が残した音源。21年経って突然リリース。当時は特にタイトルのないデモ音源としてカセットテープで配布していたようだ。ぼくはこの音にぶっ飛ばされて彼とコンタクトをとり続けた。同じ年の夏の終わりに「家族旅行のパラダイス・ガラージ」というカセットを聴いて、泣いた。そのあたりのエキスをギュッと凝縮したのが彼のデビュー・アルバム『ROCK'N'ROLL 1500』だったわけだが「住所交換」という名曲は後にも先にもこのデモ集にしか入っていない。いや、違う。ぼくが作ったオムニバス・カセット『シースルーノースリーブインターナショナル22』に入ってる。いや、しかし、それは「大阪アンノウンR&Rシューズ」名義だ。などと細かいことを思い出していたら『スカムナイト2』の映像を見たくなって、夏のみーくん大阪ライブで上映させていただいた次第。47才の夏も彼のおかげで楽しかった。



15
Especia
『GUSTO』
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このブログで全曲をレビューしたので、ぜひご参照ください。シティ・ポップという概念をリセットするかのようなアーバンで洒脱なアレンジは2014年のコンテンポラリー・ミュージックを象徴する。



14
昆虫キッズ
『BLUE GHOST』
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アパレル関係の知人と「女の子のファッションが80年代っぽくなってる」という話になったとき「でも実際に当時の服を引っ張り出して着てみたら、なんか違った」と言ってた。昆虫キッズの新作を聴くと懐かしい気持ちになるがジュリアン・コープとかエコー&ザ・バニーメンの当時の曲をいま聴くとやっぱり古臭くて、なんか違う、という感じに似てる。最新のニューウエーヴ解釈で良質なサイケデリックとJ-POPの融合を図る鋭いバンド。楽曲も演奏スキルもルックスも鉄壁の四人だけに活動終了は本当に残念だ。彼らをスターにできなかった音楽業界は無能。昆虫キッズは日本のフレーミング・リップスになれたはずだ。



13
倉内太
『ペーパードライブ』
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ひょんなことから知り合った気鋭のSSW。大阪でやったトークショー、楽しかった。ルックスも声もキュートでオーガスタかどっかに所属すればあっという間にパーッと売れちゃいそうな気がする。生い立ちや恋愛遍歴にかなり深い業があって一筋縄でいかないタイプだが、芸能人なんてみんなそんなもんだろ、とも思う。柴田聡子とのデュエット・ユニット、CHECK YOUR MOMも超絶天然カップルといった風情で最高にハッピー。売れようぜ倉内くん。



12
Weekday Sleepers
「Passion Fruits Telecrider」
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厳密にいうとフィジカル・リリースはないので「disc」じゃないけど、今年すごく気持ちを高められた一曲。あの映画を観た人なら、このイントロが鳴ればいつでも昂ぶって、見る風景はスーパースローになって、最高のシーンできっと「summer,2014」というスーパーが挿入されることだろう。名古屋でカンパニー松尾さんに何度も会えて嬉しい年でした。



11
リンダ3世
『VIVA!リンダ3世』
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グループ・アイドル・ブームが産み落とした突然変異。いわばグンマ・サウンド・マシーン。ブラジル娘らしくサンバやボサノバのフレイバーもありつつ通底するのはダブステップ・コンシャスの先鋭的なエレクトロ・ファンク。圧巻は「Brazilian Rhyme」でアイドル・グループによくある自己紹介ソングだが、めちゃアガる。ベースの音圧ハンパない。これはもうファンカデリック'14でしょう。M.I.A.みたいなめっちゃくちゃなビートでガシガシ狂っていってほしい。



10
しんまち七色ばんど
「チャイニーシューズ」
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TwitterでCHVRCHESについて執拗に呟いていたら「日本にもローレンちゃんのような天使のいるバンドがあります」と教えていただいたのがこのバンド。これは可愛い。徳島県の小学生、女の子トリオ。ぼくはロリコンかもしれない。いちばん良いのは表題曲で、ひどく懐かしいシンセの音色、せつないBメロ、ちょっとトリッキーなドラミングが激しくキュート。それ以外の曲はZONE直系のガール・ロックでブレイク必至。リリースがなかったCHVRCHESの今年は停滞か温存か。



9
Fennesz
『Bécs』
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通勤時iPod再生回数ナンバーワン。フェネス6年ぶりのアルバム。もはやギターなのかピアノなのかわからない音がエフェクトされた塊となってボワーって感じでキラキラした感じ。最近のフェネスは水彩画が油絵になったような印象で『Venice』も『Black Sea』も少し重たかったのだが、この作品は俄然爽やかだ。エレクトロニカといえば、少しポスト・ロック寄りですが、TYCHO『AWAKE』も気持ち良くてこの夏ずーっと聴いてた。しかし、さっき上のほうで同じようなこと書いたけど、「10年後に聴いたらひどくダサくて鈍いんだろうなあ」と思ってしまう。フェネスの『Endless Summer』は2001年の作品だけどその衝撃はまったく色褪せない。この違いは何なのでしょうね。



8
Shin Rizumu
『シンリズム』
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神戸在住の高校生、新理澄くんのデビュー・アルバム。冒頭から繰り出されるコード展開の妙に驚かされ、メロディ・メーカーとしての無尽蔵の才能を感じる。アレンジもいちいち凝っていてキラキラと輝いていて、サンタナみたいなフュージョン・ギターが火を噴いたり、バーズみたいなイントロがあったり、スチールパンを起用したボッサなインスト曲があったり。頭でっかちでなくきちんとキャッチーなフレーズを用意しているところも優秀なポップスだと思う。ボーカルがまだ頼りない気がするが若々しい詩情とマッチしていて何とも可愛い。キリンジへの憧憬を謳っているが初期のサニーデイ・サービスのような朴訥さも感じる。まさに無限の可能性を秘めた存在。



7
3776
「overture op.11」
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富士宮市のご当地アイドル「3776(みななろ)」。サウンドの先鋭性が話題になっていたのでレーベルの通信販売で購入。半日で届いた。アスクルより速い。聴いた人の感想をネットで読むと「モーマスみたい」「ディス・ヒートのような緊張感」「キース・レヴィンとジャー・ウォブルが揃ってたころのPIL」などみんな言いたい放題。ゆるめるモ!みたいにモチーフがはっきりしたアプローチのアイドル・ポップスも興味深いが、3776は別次元。ぼくはギターのヒリヒリ感にスティーブ・アルビニを、大胆な編集のベッドルーム感にはシトラスを思い出しました。「さよなら小学生」とかいちばんキレキレだったころのyes, mama ok?みたい。



6
乃木坂46
「何度目の青空か?」
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休日の多くを「YouTubeで乃木どこを見ること」に費やした2014年であった。いつも若月の姿ばかり目で追ってしまう。「ぼくは若月のことが好きなんだ」と気づく。若月はぼくのことどう思ってるだろう。再び「疎外された男子」を一人称にした乃木坂46の10枚目のシングル。「何度目の青空か?」という疑念は永い人生の課題で「いやー今日は10194回目の青空です」と即答できる人はいない。「青春を見逃すな」という刹那とのコントラストに胸が熱くなる。相変わらずAKBには感心しないし、この曲にも不粋な節回しは多いのだが、おニャン子クラブでぼくの胸を焦がした秋元先生への敬意もまた永遠だ。



5
ネス湖
「Stars in Daylight」
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NICE VIEW/GOFISHのテライショウタが中心と思われるアンダーグラウンド名古屋スーパーグループ・ネス湖によるCD-R。コントラバスと電子音。静かに爪弾かれるエレクトリック・ギター。いろんな物音。加藤りまの朗読カワイイ。それらをASUNAが繊細かつ大胆にミックスした32分1トラック。なんだかよくわからないけどめちゃくちゃ気持ち良いのでずっと聴いていたい。爽やかアンビエントと見せかけてドラッギーといういちばんヤバいタイプの音楽。CHECK YOUR MOMのライブに行って初めて観たGofishトリオがあまりにも素敵だったので物販でGOFISHのアルバムとネス湖を一緒に買ったのです。GOFISHも素晴らしい。Skrew KidとかGUIROとか、とんでもなく自分にフィットする音楽に突然出会えるのが名古屋の楽しいところ。



4
平賀さち枝とホームカミングス
「白い光の朝に」
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新譜をあまり買っていない一介の会社員である私ですが「2014年この一曲」と問われれば(誰にも問われていませんが)、この曲。京都在住felicity/Second Royal所属のホームカミングスの暖かいサウンドと平賀さんの歌声が稀代のフィットぶり。80年代に流行した「ネオアコ」という概念が一回りして新鮮だ。おそらくおじさんたちがEyeless In GazaとかFELTとかに夢中だったころに生まれた人たちだろう。とにかく平賀さんの声が良い。相変わらず良い。平賀さんは可愛い。それにしても、最後に収録されたリミックスはひどく退屈で何度かトライしたがついに最後まで聴くことはできなかった。



3
DEERHOOF
『La Isla Bonita』
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NO NEW YORK的な破天荒さにNAKED CITYみたいな鋭さとGO!TEAMのような瞬発力を備えたベテラン・ジャンク・バンド、結成20年目の新作。大好き。女性ボーカリストが日本人なのでチボ・マットや少年ナイフ、古くはフランク・チキンズのようなイロモノっぽい先入観を持たせるが、DEERHOOFの楽曲はプログレに近い。これほど複雑な変拍子を熟達した演奏でポップに昇華できるバンドは珍しいだろう。90年代初頭、ボアダムズに影響を受けたソリッドなバンドがたくさん出演して「トリッキーな曲やったもん勝ちやろ」と凌ぎを削っていた大阪のイベント『地獄の原始人』を思い出した。



2
豊田道倫
『SING A SONG 2』
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「親が死んだとか離婚届を出したとか、そういう人生の節目に引っ張り出して聴いてほしいアルバム」と豊田は言った。10年ぶりの『SING A SONG』シリーズは40曲を一日で録音した掟破りの3枚組で。という話は以前に書いた。パッケージングをしたFJP-TRAX竹野さんの「3枚の盤をCDケースにセットする作業の果てしなさ」を聞くにつけ『SING A SONG 2』はダウンロード時代におけるパッケージ世代のカウンターアクションなのかもと思う。いや、それ以前に、この上なく簡素なフォームでありながら濃密な物語と美しいメロディに溢れたこの作品は、不毛な歌詞、軽率なメロディに過剰なアレンジを施し続けるあらゆる商業音楽への強烈なカウンターとして機能すべきだ。



1
川本真琴
『gobbledygook』
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川本真琴の初期アルバムがソニーから再発されるという偉業。この2001年リリースのセカンドが今更ながら凄まじく素晴らしい。シングルが5曲も収録されていてそれぞれの熱量が途方もなく高い。当時”ケイト・ブッシュ路線”と言われた「ピカピカ」や「FRAGILE」のアレンジの緻密さ、繊細さ。ゴスペル調に展開していくプログレッシブな構造美に改めて圧倒される。「微熱」のイントロに涙。そして「桜」の波状攻撃。危うさの中に放たれる「誰も選ばない風に吹かれて」という言葉の凛々しさ。これほどの矜持と手間をかけてこそポップスと呼ばれるべきだと思う。RIDEとか思い出すオルタナ・ギターやクラブ系へのアプローチなど多彩なアレンジが実に贅沢。声のキュートさは言わずもがな。そして、再発にあたって当時を振り返る川本さん自身の手記があまりに赤裸々で新鮮な衝撃。
by kamekitix | 2014-12-31 23:59