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安田 伊勢神宮の式年遷宮があるでしょう。持統天皇の時代に始まった式年遷宮は20年に1回、お社を建てるという行事。しかも、同じ大きさに、同じ方法で建てる。これは、何の成長もないということ。僕は三重県出身ですから式年遷宮はよく知っている。だけど、なぜ20年前と同じことをしなければならないのか。なぜ大きい建物ではなく同じ物を建てなければならないのか。その理由がよく分からなかった。

 でも、地球環境問題が起きてその意味が分かった気がしました。20年は一世代。おじいさんが式年遷宮をしたらお父さん、お父さんがやったら子供、子供の次は孫、曾孫と1300年間、延々と式年遷宮は続けられてきました。これは、20年ごとに式年遷宮をやれる喜びを感じてください、ということではないか。右肩上がりに成長するのではなく、持続的に式年遷宮を続ける喜びを感じてください、ということではないか。

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 今、右肩上がりで成長したとしても、地球環境問題が深刻化すれば、20年後に式年遷宮ができるかどうか分からない。「2050〜70年に現代文明は崩壊する」と僕は考えている。20年後はともかく、60年後にできるかどうか、分からない。それに比べれば、成長は確かにしないかもしれないけど、20年ごとに式年遷宮ができて、1300年続く方が喜びは大きいのではないか。

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