LANケーブルの選び方
「LANケーブルって何?」「どういう種類があるの?」「注意すべきポイントは?」など、LANケーブルを選ぶ際のお悩みや疑問を解決できるのが選び方ガイドです。LANケーブル選びに必要な基礎知識や選び方のポイント、用語解説をしっかりチェックして、自分の用途にピッタリな製品を選びましょう。
2024/1/10 更新
目次
LANケーブルとは、その名のとおりLAN(Local Area Network=ローカルエリアネットワーク)を構築するためのケーブルです。一般的には、ルーターやスイッチングハブ(ネットワークハブ)といった通信機器と、PCやゲーム機などを有線接続して、インターネットに接続する際に使用します。LANケーブルは、種類によって通信速度やケーブルの取り回しのしやすさなどが異なるため、しっかりチェックして自分の環境にピッタリなLANケーブルを選びましょう。
LANケーブルを選ぶ際、最初にチェックしたいのが「カテゴリ」と「タイプ」です。「カテゴリ」とは、性能や特徴によって区分されている規格で、主に通信速度に影響します。一方「タイプ」は、LANケーブルの種類をあらわすものです。インターネットに接続するための「ストレートケーブル」と、パソコン同士を接続するための「クロスケーブル」の2種類がありますが、基本的に「ストレートケーブル」を選べばOKです。また、使用する場所や用途によって最適なケーブルの「長さ」や「構造」も異なるため、こちらもあわせてチェックしておきましょう。
4行でわかる! LANケーブル選びのポイント
LANケーブルは、性能や特徴によって「カテゴリ」と呼ばれる規格で区分されています。カテゴリごとに細かな違いはありますが、最も重要なのは通信速度。接続する機器の最大通信速度に対応した「カテゴリ」の製品を選びましょう。LANケーブルには下位互換性があるため、利用している端末の通信速度がわからない場合は、「カテゴリ6」か「カテゴリ6A」を選択するとよいでしょう。
一般家庭では「カテゴリ6/6A」がベスト、それ以上は逆に通信速度が遅くなることも
「カテゴリ6A」の一部と「カテゴリ7」以上のLANケーブルは、電磁波の影響による通信障害が起こらないようにシールド処理が施された業務向けの「STPケーブル」となっています。「STPケーブル」はネットワーク機器に接地(アース処理)が施されていないとノイズの影響を強く受けてしまい、「カテゴリ6A」よりも通信速度が遅くなる可能性があります。一般家庭で使用する場合は「カテゴリ6」か「カテゴリ6A」がベストです。
最大通信速度 | 伝送帯域 | シールド処理 | 用途 | |
---|---|---|---|---|
カテゴリ5(CAT5) | 100Mbps | 100MHz | 一般家庭向け | |
カテゴリ5e(CAT5e) | 1Gbps | 100MHz | ||
カテゴリ6(CAT6) | 1Gbps | 250MHz | ||
カテゴリ6A(CAT6A) | 10Gbps | 500MHz | ||
カテゴリ7(CAT7) | 10Gbps | 600MHz | 業務向け | |
カテゴリ7A(CAT7A) | 10Gbps | 1000MHz | ||
カテゴリ8(CAT8) | 40Gbps | 2000MHz | データセンター向け |
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LANケーブルの「カテゴリ」の確認方法
LANケーブルは「カテゴリ」によって最大通信速度が異なるため、現在使用しているLANケーブルの「カテゴリ」より下位の製品に買い替えてしまうと、通信速度が遅くなってしまいます。ここでは、LANケーブルのカテゴリを確認するポイントを2つ紹介しますので、LANケーブルを買い替えたり、追加で購入する際の参考にしましょう。
1.ケーブルに表記されている「カテゴリ」表記を確認する
写真のように、ケーブル部分に「カテゴリ」が表記されている場合は、すぐに見分けることが可能です。
2. ケーブルに表記されているケーブルの「配線規格名」を確認する
LANケーブルによっては、「カテゴリ」表記の代わりにケーブルの「配線規格名」が表記されている場合があります。表記されている文字列の中に下記の「配線規格名」があれば、LANケーブルの「カテゴリ」を見分けることが可能です。ただし、この「配線規格名」は順次更新されるため、下記の表に見当たらない場合は、インターネットなどで最新の「配線規格名」を調べてみるといいでしょう。
カテゴリ 5 | ANSI/TIA/EIA-568-B.1 |
---|---|
カテゴリ 5e | ANSI/TIA/EIA-568-B.2 |
カテゴリ 6 | ANSI/TIA/EIA-568-B.2-1 |
カテゴリ 6A | ANSI/TIA-568-B.2-10 |
カテゴリ 7 | ISO/IEC 11801 |
カテゴリ 7A | |
カテゴリ 8 | ANSI/TIA-568.C-2-1 |
「タイプ」は、LANケーブルの種類をあらわすもので、インターネットに接続するための「ストレートケーブル」と、パソコン同士を接続する「クロスケーブル」の2種類があります。基本的に「ストレートケーブル」を購入すればOKです。
ルーターやスイッチングハブ(ネットワークハブ)と、パソコンやゲーム機などを接続するためのLANケーブルです。8本ある内部端子が、まっすぐ(ストレート)に接続されています。一般家庭では、「ストレートケーブル」を購入すれば間違いありません。
パソコンとパソコンなど、端末同士を接続するときに利用するLANケーブルです。ルーターなどの通信機器を介さずに、直接データをやり取りする場合に使用します。ケーブルが交差(クロス)することで、内部端子同士を接続しています。
LANケーブルを選ぶ際は、事前に必要な長さを確認しておきましょう。短すぎると機器同士を接続することができないほか、長すぎるとノイズ(外部からの干渉)によって通信速度が落ちたり、取り回しに苦労したりします。下のイラストを参考にして、ちょうどよい長さのLANケーブルを選択しましょう。
LANケーブルの長さで製品を探す
一般的なLANケーブルは、8芯の銅線で構成されていますが、 それぞれの芯の構造によって「単線」タイプと「ヨリ線」タイプの2種類に分類されます。
「単線」は、LANケーブル内部の8芯の銅線がそれぞれ1本の太い銅線で作られたタイプ。「ヨリ線」は、8芯の銅線の1本1本が7本の細い銅線で構成されたタイプです。「単線」タイプと「ヨリ線」タイプの構造や性能の違いをしっかりチェックして、自分の用途にピッタリな製品を選びましょう。
丈夫でノイズに強く、安定した通信が可能
「単線」タイプは、ケーブルが硬いため扱いにくいものの、丈夫でノイズに強く安定した通信が可能です。ノイズの影響を受けやすい10m以上の長いLANケーブルを使用する場合は、単線タイプを選ぶといいでしょう。
柔らかくて狭い場所でも配線しやすい
「ヨリ線」タイプは、ひとつひとつの銅線が細いため柔らかく、狭い場所でも配線しやすいのが特徴です。銅線が細いぶん「単線」タイプよりもノイズに弱いという弱点もありますが、5m程度の配線であればほぼ影響はありません。
ここでは、LANケーブルを選ぶ際に知っておくと役立つスペックについて個別に解説。しっかりチェックして、自分の用途にピッタリな製品を選びましょう。
ケーブル部分が薄くて平らな形状をしているLANケーブルです。スリムで省スペースなため、床や壁をつたわせたり、ドアの隙間などを通したりする場合に便利です。また、LANケーブルを配線すると部屋のイメージを損なってしまう場合などは、カーペットの下に配線することも可能です。
パソコンなどのLANポートとLANケーブルのコネクタを固定させる「ラッチ」(ツメ)部分に、屈曲に対する耐久性が高い素材やツメ折れ防止用のプロテクタを採用した製品です。ひんぱんに抜き挿しする場合は、コネクタ保護機能付きのLANケーブルがいいでしょう。
LANケーブルの両端を引っぱることでケーブルを引き出したり、収納したりできる巻き取り式のLANケーブル。出先やホテルなどで有線LANに接続する場合に便利です。
パソコンやNAS、クラウド上にある音楽データを再生する「ネットワークオーディオ」で使用されるLANケーブルで、「音質の向上」をうたう製品がラインアップされています。
「PoE」とは「Power over Ethernet」の略で、コンセントからではなくLANケーブルによって給電するシステムです。PoE給電対応ハブと、PoE給電対応の無線LANアクセスポイントや防犯カメラなどをPoE対応LANケーブルで接続すれば、ケーブル1本で電力供給と通信の両方が可能です。
大阪に本社を置く、PC周辺機器メーカーです。マウスやキーボードなどのパソコン周辺機器をはじめ、無線LANルーターやスイッチングハブ、LANケーブルなどのネットワーク関連の機器も展開。LANケーブルは、スタンダードな「CAT5e」からデータセンター向けの「CAT8」対応製品まで、幅広くラインアップしています。
岡山県岡山市に本社を置く、PCサプライ製品メーカーです。PCデスクやカバー・ケース、ノートPC向けのキャリングバッグなどを展開。LANケーブルも、標準的なスタンダードタイプから薄型のフラットタイプ、取り回しやすい極細タイプ、さらには自作用LANケーブルまで、豊富な製品をラインアップしています。
名古屋に本社を置く、PC周辺機器メーカーです。PC用メモリーやストレージ、キーボード・マウスなど、幅広い製品を展開しています。LANケーブルは、180度曲げても折れない素材のツメを採用したモデルや、コネクタ部分にロック機能を備えたモデル、業務向けの屋外用モデルなど、用途やシチュエーションに合わせた製品を展開しています。
通信は可能ですが、通信速度が制限されます。
LANケーブルには下位互換性があるため、異なるカテゴリのケーブルが混在しても通信できます。ただし、各端末の最大通信速度は、端末の上流にあるLANケーブルの最大通信速度に制限されます。
機器によっては通信できる場合もあるので、まずは接続してみましょう。
基本的には、パソコン同士を接続するときは「クロスタイプ」、パソコンと通信機器を接続するときは「ストレートタイプ」を使用します。しかし、近年は機器が自動で接続先の通信ポートを検知してくれるため、LANケーブルのタイプに関係なく通信できることもあります。パッケージを開封してしまい、返品や交換ができない場合は、まずは接続してみましょう。
UTPケーブル
「Unshielded Twisted Pair」ケーブルの略です。「シールド処理が施されていない」LANケーブルのことで、一般家庭やオフィスなどで使用されています。シールド処理を施すことで外部ノイズに対する耐性が強くなり通信速度や通信の安定性が増しますが、一般的なネットワーク環境ではシールドの有無が問題になるほど大きなノイズによる影響はありません。
STPケーブル
「Shielded Twisted Pair」ケーブルの略です。「シールド処理が施されている」LANケーブルのことで、工場やデータセンターなどで使用されています。シールド処理を施すことで電磁波やノイズへの高い耐性を実現している一方、外部ノイズによってシールドにたまる電気がさらなるノイズの発生源となるため、「STPケーブル」を使用する際は、ネットワーク機器に接地(アース処理)をして電気を逃がす必要があります。