「家電製品長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。次回更新は2月12日(木)を予定しています(編集部)
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無印良品「M-AW70A」。我が家ではベランダに設置している
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今月から新しく、家電製品を数回にわけて紹介する「家電製品マンスリーレビュー」をスタートする。編集部からは初回として、記者が昨年から約1年間使い続けた無印良品の縦型洗濯機「M-AW70A」を取り上げる。
この洗濯機、実は直販価格は39,000円と、そんなに高価なものではない。また、ハイグレードな洗濯乾燥機というわけでもなく、流行のドラム式というわけでもない。タテ型の、普及価格帯の全自動洗濯機である。
ではなんでそんなモノを!? とお思いかもしれないが、それには2つの理由がある。1つは、このクラスの機種でも、十分に取り上げるべき機能が備わっている点だ。M-AW70Aではまず、風で衣類の水分を飛ばす「簡易乾燥機能」がある。これを使うことで、例えば雨降りの時に衣類の乾燥をサポートできる。このほか、濃い洗浄液で洗浄効果をアップする「濃縮洗浄」機能や、衣類の絡みを防ぐセンサー機能というのもある。決して安かろう悪かろうというものではない。
もう1つは、本製品が「無印良品」というブランドである点だ。進学や異動などで、この3~4月に新生活を迎える人も多いだろうが、そこで便利なのが無印良品。洗濯機や冷蔵庫など、日常生活で必要な家電が手頃な価格でひと通り揃っており、ついでに家具や日用品も購入できる。引っ越しを機に、店頭やネットショップに向かう人も多いだろう。新しい生活で忙しい方々に、この記事が少しでもアドバイスとして役に立てば……という狙いもある。
以上のことを簡単にまとめれば、要は「無印の新生活者向け家電って、ぶっちゃけどうなのよ!?」ということを、M-AW70Aでもって検証しようというわけだ。
レビューは3週にわたってお届けするが、初回はM-AW70Aの基本的な機能を紹介し、2回目では前述の「簡易乾燥機能」、3回目は無印良品の家電を購入するうえで気を付けたい点について触れる予定だ。
メーカー | 無印良品 |
製品名 | M-AW70A |
希望小売価格 | 39,000円 |
購入場所 | 無印良品ネットストア |
購入価格 | 39,000円 |
● 購入前は容量/乾燥機能/使用条件をよく考えて
製品の各機能の説明を詳しくする前に、なぜこの「M-AW70A」を購入したかというに触れる。簡単にいえば“使用条件を想定して買わないとダメだよ”という経験談だ。これから新生活を始める読者に同じ鐵を踏んで欲しくないため、クドいかもしれないが書かせてもらう。
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M-AW70Aの以前に使っていた洗濯機は、韓国の大宇電子「DWA-T55」。初期購入費が安く、2度の引っ越しにも耐え5年ももってくれたが、容量、機能の面では物足りなかった
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洗濯機を買い換えた理由は、これまで使用してきた洗濯機に不満があったからだ。海外製の安い洗濯機で、今から6年前の2003年の冬、東京で新たな生活を始めるに当たり、家電量販店のコジマで購入したものだった。価格は確か2万円未満と、新生活を始めようとする人間にはお手頃な価格だったと思う。性能などは一切度外視で、何の気なしに購入した。
以降、普通に使えていたが、徐々に性能に不満を覚えるようになった。まずは5.5kgと比較的小型な容量だ。仕事から帰宅後に洗濯しようとも、隣室への騒音が気になって洗濯物をため込むことが多く、その“在庫”を休日に洗濯機にいっぺんに投入しようとすると確実に溢れてしまう。複数回にイチイチ分けて運転するのがとても面倒くさかった。
次に、洗濯乾燥機ではないから当たり前といえば当たり前だが、衣類が乾きにくい点だ。これは雨が降り続く梅雨の時期は辛いものがある。特に週末に雨が降ろうものなら、洗濯物の“在庫の山”はさらにうずたかく積まれることになる。無理に部屋干しをしても、部屋の空気が湿っているためなかなか乾いてくれない。
また、洗濯後の衣類の絡みがかなりひどく、なかなか洗濯槽から衣類が引き出せず、洗濯の度にいちいち服と服の絡みを解かなければいけないのだ。無理やり引き出そうとして、服がビリビリに破けてしまったこともあった。
そのほかにも、引っ越しの際に上面パネルが壊れてしまうという事故もあった。購入から5年、まだまだ使えるのでもったいないとは思ったが、暮らしをよりスムーズにしたいため、買い換えを決意した。購入する場合は、洗濯容量、梅雨時の乾燥対策、衣類の取り出し易さ……などなど、使用状況を想定したうえで購入するのが、当たり前ではあるが重要になってくる。
そこで私の場合は、溜め込んだ洗濯物もいっぺんに洗える、独身にはやや大きめの「容量7kg」、完全な乾燥機能ではないが、送風で乾燥までの時間の短縮につながる「簡易乾燥機能」、衣類の絡みを抑える「からまんセンサー」を備えた「M-AW70A」に白羽の矢を立てたわけだ。ちなみに、ドラム式洗濯乾燥機という選択肢もあったが、値段を見ただけで薄給のサラリーマンには腰が引けてしまった。
● 意外と静かな運転音。衣類のからみもなく取り出しやすい
だいぶ遠回りをしたが、今回のメインとなるM-AW70Aの話に移る。
まず本体サイズは585×552×928mm(幅×奥行き×高さ)と、マンションのベランダに余裕で設置できる寸法だ。標準使用水量は123L。消費電力は50Hz地域で510W、60Hz地域で575Wとなる。
運転モードでメインとなるのが、スタートボタンを押すだけで洗い/すすぎ/脱水を自動で行なう「標準コース」だ。このほか、汚れの多いものを洗う「つけおき」、軽い汚れの洗濯物を短時間で洗う「スピーディコース」、「毛布・ドライコース」などもあるが、まあたいがいのことは「標準」で済むだろう。もちろん、洗い/すすぎ/脱水をそれぞれ単独で運転したり、組み合わせて使うこともできる。
ここで一週間まるまる溜まった洗濯物を洗濯槽に投入すると、槽からはみ出ることなく、すべてスッポリと収まった。中を見ると、まだもうちょっと入りそうな余裕がある。これなら10日くらい溜めても大丈夫そうだ。
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操作パネル
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洗濯容量は、独身にはやや大きめの7L
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試しに1週間溜め込んだ衣類を洗濯槽に投入すると……
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全部が入り、それでもまだ余裕がある
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電源ボタンを押してスタートボタンを押せば、自動で運転がスタートする。最初は洗濯槽底のパルセーター(回転板)だけが回転し、その後水が槽内へ流れ込む。このパルセーターの回転は洗濯量を計測しており、洗濯量に合わせた水位に無段階で設定できるというもの。「水位」ボタンを押せば任意の量にも変更できる。
また、衣類の量によって最適な洗剤量を指示するランプも付いている。今回はかなり洗濯量が多いため、洗剤量は“最大”にランプが付いているが、少量の洗濯の場合は少量の洗剤の部分にランプが付く。洗剤は多すぎても少なすぎても問題だが、これにより最適な分量がわかるわけだ。
水がある程度注ぎ込まれると、槽が徐々に回転し始める。これが「濃縮洗浄」という機能で、低い水位から槽内を撹拌することで、濃度が濃い洗浄液を衣類にしみこませるというもの。このため洗剤が汚れに効果的にはたらき、汚れが落ちやすくするというもの。全自動洗濯機ではよくある機能だが、このあたりは無難に抑えている。
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いろいろなボタンが用意されているが、標準モードで使うのは右端の電源ボタンとスタートだけ
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衣類の量に合わせて、洗剤の投入量を示すランプが点灯する
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あとは自動で洗い/すすぎ/脱水を行なう。運転音は脱水時はまあそれなりの音がするものの、洗い時は特に静か。ベランダや庭に設置した場合は、窓を閉めてしまえばほとんど気にならないレベルだ。スペック値は、洗い時が38dB、脱水時が洗い時が46dBとあった。このクラスの機種で洗い時で40dBを割る機種は意外と少ない。運転音についてはノーマークだったため、ちょっとびっくりしてしまった。
約40分で、「ピーピー」という音とともに運転が終了。槽内の衣類を掴むと、「からまんセンサー」のおかげか、スルスルと衣類が取り出せる。力を入れずに取り出せるため、衣類の伸びも気にならずに済む。以前の洗濯機とは大違いだ。後はハンガーに掛けて、干して洗濯が完了だ。
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洗濯が終わった後の槽内部
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「からまんセンサー」のおかげで、布絡みも少なく、取り出しやすい
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参考までに、これまで使っていたDWA-T55の洗濯完了後の写真を掲載する。DWA-T55では洗濯後に衣類を取り出すのが困難で、服を破ってしまったこともあった
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……と、基本的な機能はこんなところだ。実は正直なところ、普及価格帯の製品だから大したことはないだろうと思ったが、洗い中の運転音の静かさや、洗剤量のガイド機能、衣類の取り出しやすさなど、意外とストレスなく便利に使えるのにびっくりした。古い機種から買い換えるなら、この製品でも十分良さを感じられる製品だろう。
初回は基本性能だけを紹介したが、次回は送風による「簡易乾燥機能」が本当に使えるかどうか、洗浄能力と合わせて試してみようと思う。
その1 /
その2 /
その3
■URL
無印良品
http://www.muji.net/
製品情報
http://www.muji.net/store/cmdty/detail/4945247483116
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http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/washer.htm
2009/02/05 00:02
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