2012年8月28日
日本電気株式会社
NECは、独立行政法人国際協力機構(JICA)が企業などのBOP(Base of the Pyramid)ビジネスの事前調査を支援する「協力準備調査(BOPビジネス連携促進)制度」に基づき、インド共和国においてBOP層の生活改善に貢献するスマートビレッジ事業の準備調査を開始しました。調査期間は、2014年3月までです。
本調査では、マハーラーシュトラ州やカルナータカ州などの複数の農村集落に水耕栽培設備を導入し、無農薬の生鮮野菜の生産テストを行います。水耕栽培設備については、東日本大震災で津波による塩害の被害を受けた宮城県亘理郡山元町に株式会社GRA(
注1)が設置する水耕栽培技術を活用します。
また、NECのエネルギーマネジメントシステム(以下EMS)を用いて系統電源と自家用発電機の電力を管理することで、水耕栽培に必要な電力供給の安定化を図ります。さらに、現地のプネ農業大学と提携し、学生を対象にOJTによる水耕栽培技術の実地訓練を実施することで、生産管理者の育成を図ります。
なお、インドの農村コミュニティとの連携についてNPO法人ICA文化事業協会(
注2)と協働します。
NECでは、2015年を目標に、水耕栽培の事業化を通じて農村の女性や障がい者などBOP層に雇用機会を創出すると共に、富裕層を顧客とする大手スーパーやホテル、外食チェーンに安全・安心・無農薬の野菜や果実を直接販売することで農村の所得向上の実現を目指します。
さらに、農村の所得向上で生じた余剰資金を活用し、スマートビレッジ化を実現します。具体的には、再生可能エネルギーや蓄電池、EMSを利用した農村単位での安定的な電力供給を実現し、通信インフラの整備による情報格差の解消、遠隔医療や遠隔教育などによる農民の生活向上を図ることで、BOP層の支援と事業化の両立を目指します。
現在、インドの農村部における貧困の要因として、(1)農産物市場に関する知識や情報がないため買い叩きが行われ収入が少ない、(2)適切な教育を受けておらず、また教育普及活動などの支援がない、(3)害虫や病気に対する知識がなく収穫が安定しない、(4)農作業が重労働であり男性中心の社会であるがために農村部の女性や障がい者に就労機会がない、などが挙げられます。
NECでは、これらの問題を解決するため、室内の機械設備の管理と軽作業のみで、バクテリアに汚染されていない無農薬で安全・高品質な農作物を安定的に栽培可能な水耕栽培の導入が有効と判断しました。
NECでは、本調査を通じて、新興国における青少年教育の充実、衛生意識の向上、農村でのICTを使った新たな事業創出を実現し、幾世代にもわたり繰り返されてきた貧困の連鎖の解消に貢献してまいります。
なお、本調査に至る前段階として、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)による2011年度BOPビジネス・パートナーシップ構築支援事業のパートナー連携促進現地活動サポート事業に採択され、現地パートナー各社の紹介を受けており、現在も引き続き協力を仰いでいます。
以上
(注1) 株式会社GRA
宮城県亘理郡山元町で先端施設園芸に取り組む農業生産法人。
代表取締役CEO:岩佐大輝
(注2) NPO法人ICA文化事業協会
『人間は地域及び組織最大の資源である』という基本理念に基づき、30ケ国のICAネットワークで40年間に渡り開発された参加型の手法を用いて、国内外で地域開発、組織開発、人間開発を実践している団体。会長:橋場文昭
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「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現する
グローバルリーディングカンパニー」を目指しています。
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