韓国機事故、原因調査本格化へ 滑走路の設計に問題か

韓国機事故、原因調査本格化へ 米当局が現地入り
 韓国南西部の務安国際空港で179人が死亡した旅客機事故の発生から2日目となる31日、警察が犠牲者の身元確認を急ぐ中、米当局の調査員が現地入りし原因究明のための調査も本格化する。30日撮影(2024年 ロイター/Kim Hong-Ji)
[ソウル 31日 ロイター] - 韓国南西部の務安国際空港で179人が死亡した旅客機事故の発生から2日目となる31日、警察が犠牲者の身元確認を急ぐ中、米当局の調査員が現地入りし原因究明のための調査も本格化する。専門家からは、事故機が激突した土手が滑走路から近すぎたために大惨事につながったとの指摘が出ている。
警察によると依然5人の身元が確認できておらず、人員を増やしDNA鑑定などで確認に全力を挙げるとしている。
国土交通省は会見で、チェジュ航空(089590.KS), opens new tabの事故機ボーイング737-800型機から回収したフライトレコーダー(ブラックボックス)にデータ転送を担う重要な接続部品がなくなっており、どのようにデータを抽出するか検討していると明らかにした。
米運輸安全委員会(NTSB)、米連邦航空局(FAA)、ボーイングが調査団に加わった。
NTSBは、調査を支援するため、航空運航などの専門的な知識を持つ調査員3人を韓国に派遣したと発表した。必要なら専門家を追加派遣する用意があるとした。
国土交通省によると、韓国国内で運航する737-800型機101機全ての特別点検は1月3日までに完了する予定。一方、務安空港は1月7日まで閉鎖される。
<空港の設計に疑問>
今回の事故を巡っては、務安空港の設計上の特徴、特に着陸誘導に関するローカライザーと呼ばれる装置が備えられた滑走路端の土とコンクリートの土手が注目されている。
事故機は高速で土手に激突し炎上。周囲に遺体およびその一部が散乱し機体はほぼ分解した。
国際民間航空機関(ICAO)の規則では、滑走路の端から240メートルは安全地帯とするよう推奨している。国土交通省の当局者は、国内の大半の空港はこの規則に基づき作られていると述べた。ただし国内法では「施設の稼働に大きな影響を与えない」範囲で一部設備の場所を調整するのが可能としている。
空港・航空管制施設関係当局の幹部は会見で「われわれ独自の規制に相反が存在していないか調査し、空港の安全基準をさらに審査する予定だ」と述べた。同幹部はFAAは異なる基準を採用していると説明した。
務安空港の運営マニュアルによると、ローカライザーは事故現場からわずか199メートルと、滑走路の末端から非常に近い場所にあった。
韓国航空公社が準備しウェブサイトに掲載された文書は、務安空港の第2次拡張で空港当局が「距離をさらに取ることを検討」すべきとしている。
元737型機の操縦士でセーフティ・オペレーティング・システムズの最高経営責任者(CEO)のジョン・コックス氏は、滑走路の設計は、滑走路端から少なくとも300メートル以内に堤防のような硬い構造物を設置してはならないというのが業界のベストプラクティスで、務安空港はそれを満たしていなかったと指摘した。事故機が滑走路から外れたとき、ビデオ映像では事故機が減速し、制御できているように見えたという。「あの土手にぶつかったときが、悲劇に変わったときだ」とコックス氏は述べた。

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