コラム:バラ色のウォール街、一部指標は赤信号が点滅=専門家

コラム:バラ色のウォール街、一部指標は赤信号が点滅
 古典的な市場の決まり文句にあるように、投資家はコンセンサスが圧倒的に楽観的な時に最も心配し、圧倒的に弱気な時に強気になるべきだ。写真は、ウォール街にある雄牛の像。2017年3月、ニューヨークで撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid)
[オーランド(フロリダ州) 17日 ロイター] - 古典的な市場の決まり文句にあるように、投資家はコンセンサスが圧倒的に楽観的な時に最も心配し、圧倒的に弱気な時に強気になるべきだ。
このロジックを2025年の米株式市場の見通しに当てはめた場合、投資家は逃げ出すべきであろう。
景況感調査やポジショニング、バリュエーションなどの多くの指標から見て、米金融街のウォール街の概観がこれほどバラ色だったことはない。
この「米国例外主義」の波に、誰もが気付いていることだろう。人工知能(AI)とハイテクブームがハードでもソフトでも、いかなる米国経済の着地点からも遠ざけており、株式市場の目を見張るようなアウトパフォームに拍車をかけたからだ。
しかし、一部の指標で「赤信号」が点滅しており、それは筋金入りの逆張り主義者にとってだけではない。実際、楽観主義は非常に強力で、ウォール街の最も知られた弱気派の一部を退けてきた。
「破滅博士」の異名を持つヌリエル・ルービニ氏や、ローゼンバーグ・リサーチ創設者のデビッド・ローゼンバーグ氏でさえ、最近は米国株について「TINA(代替案はない)」との見方を受け入れているようだ。
弱気派が降参する時は、間違いなく心配する時ではないだろうか。
おそらく、今回に関しては本当に違うのでなければ。過去3年間はそうだったかもしれないことを示唆している。新型コロナウイルス禍後の世界は、経済の教科書や市場のプレイブックには載っていないものだったからだ。
TSロンバードのダリオ・パーキンス氏は、米市場やマクロでの弱気派は新型コロナ禍の「フェイクサイクル(偽局面)」を何度も読み違えたと指摘する。弱気派は逆イールドカーブにだまされ、誤った先行指標を重視し過ぎ、労働市場の正常化を弱さだと誤解してきたと主張する。
パーキンス氏は「経済がより規則的な原動力に戻れば、この種の誤りはなくなるはずだ」と言う。弱気派は3年間にわたって「過度に悲観的であったため、現実を受け入れている」だけなのだろうか。
そうだとしても、ビジネスが通常通りに戻るとは言い難い。実際、現在の米株式市場には極めて異例なことが多い。
株式市場のS&P総合500種やナスダック総合が過去最高水準にあることはその1つではない。経済が成長し、生産性、技術革新、企業利益が向上すれば、株価は長期的に上昇する。しかし、注意すべき根拠もある。
米国と欧州の株式バリュエーションの差はかつてないほど広がっており、世界の株式時価総額に占める米国株のシェアは過去にないほど大きくなっている。
極端なバリュエーションは、暴落や調整が差し迫っていることを保証するものではない。しかし、アクサ・インベストメント・マネージャーズのクリス・イッゴ氏が正しく指摘しているように、バリュエーションはリスク計算を変える。
それでも、調整にはきっかけが必要だ。今回はそれが何であろうか。
バリュエーションがついに投資家をおびえさせ、巻き戻しが白紙に戻すかもしれない。そのきっかけはドナルド・トランプ米次期大統領の政策アジェンダ、欧州の脆弱な政治経済軸、あるいは中国経済の苦戦かもしれない。または誰も注目していない根本的なリスクかもしれない。
S&P500種は、米連邦準備理事会(FRB)が利上げ局面を終えた2023年7月以降に全体で約35%のリターンを達成しており、2年連続で25%を超える見込みだ。
イッゴ氏は「このような背景を考えると、3年目は無理があるかもしれない」と言及している。
(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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Jamie McGeever has been a financial journalist since 1998, reporting from Brazil, Spain, New York, London, and now back in the U.S. again. Focus on economics, central banks, policymakers, and global markets - especially FX and fixed income. Follow me on Twitter: @ReutersJamie