韓国、今冬・来夏の停電の可能性高まる

[密陽市(韓国) 9日 ロイター] - 韓国ではケーブルの安全性問題による原子力発電所の停止や、超高電圧送電線用鉄塔建設に対する抗議などを背景に、今冬と来夏に停電が発生する可能性が高まっている。
国内には原子力発電所23基があるが、保守点検や偽造証明書で供給されていたケーブルの交換などのため、6基が稼働を停止している。さらにもう1基が蒸気発生器の溶接の点検のために近く停止する予定だ。
韓国は電力の3分の1を原子力発電で賄っている。
偽造証明書をめぐっては、検察は贈賄や偽造の疑いで多数の関係者を逮捕している。この問題で、新たな原発2基の稼働に遅延が生じている。
韓国電力公社(KEPCO)<015760.KS>副社長のBaek Jae-hyeon氏は、「来年の夏季は、今年の夏よりも(電力需要を満たすのが)難しくなるだろう。この冬も厳しくなる」と述べた。
政府は5月に、今年の夏は未曽有の電力不足に陥る可能性があると警告したが、6─8月期に国全体の節電キャンペーンで電力使用を6000メガワット(MW)削減した結果、停電をどうにか回避した。電力消費は7万4000MWに抑えられた。
業界データによると、今冬のピーク需要は8万1000MWを超えるとみられている。総発電能力を5000MW下回る水準だが、ケーブルや溶接の点検のため停止している原発4基が再開されない場合は、需要が供給を上回る可能性が出てくる。
韓国が計画停電を最後に実施したのは2011年の9月。
ケーブルの交換が無事に済んだ場合でも、ソウル南東にある密陽市近くで予定される超高圧送電線用鉄塔52基の建設が予定通り進まない限り、来年の3月と9月に予定されている新たな原子炉2基の稼働が延期される可能性がある。現在、90キロメートルの送電線の3分の1が抗議活動で進ちょくが止まっている。送電線は新古里原発から韓国南東部の工業地帯に電力を供給する予定。
KEPCOのBaek副社長は、送電線の完成は停電を回避するために不可欠だと述べた。完成には少なくとも8カ月を要することを明らかにした。

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