債務危機のギリシャで医療環境悪化、必要物資も不足=欧州疾病当局

債務危機のギリシャで医療環境悪化、必要物資も不足=欧州疾病当局
12月4日、欧州疾病予防管理センターは、ギリシャでは医療従事者が手袋やガウンの着用など、最低限の疾病予防措置すら行えない状況にあり、多剤耐性感染症が増加する危険があるとの見解を示した。写真は11月、アテネで撮影(2012年 ロイター/Yorgos Karahalis)
[ロンドン 4日 ロイター] 欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、ギリシャでは医療従事者が手袋やガウンの着用など、最低限の疾病予防措置すら行えない状況にあり、多剤耐性感染症が増加する危険があるとの見解を示した。
ギリシャはすでに、院内感染問題が欧州最悪レベルで、疾病専門家らは、経済危機によるヘルスケア部門の人員削減やケアの水準低下で事態がさらに悪化しているのではないかと懸念している。
2日間にわたってアテネの病院や医療施設を視察したECDCのマルク・シュプレンガー所長は、患者が増える一方で医師や看護師が減っているうえ、病院は必要な供給を受ける資金が乏しく、基本的な健康状態さえ脅かされていると指摘。
同所長はロイターとのインタビューで「手袋、ガウン、アルコール消毒用のシートといった基本的な必要物資も経済的に調達できない施設が見られる。われわれは、すでにギリシャが耐抗生物質の感染症において非常に悪い状況であることを認識しているが、今回の視察で、この戦いに負ける直前の事態に達していることが分かった」と述べた。
さらに同所長は、これは結核など感染性の高い疾病の患者に対して適切な治療が行われない可能性と、それに伴い欧州全体に危険な耐性型が影響をもたらすリスクの上昇を意味していると述べた。
ギリシャがヘルスケア制度のため支出する金額は年間110億ユーロ(144億ドル)で、経済生産の5%をやや上回る水準。政府は、医療制度は20億ユーロ前後の赤字で、支出を劇的に抑制する必要があるとしている。
同国では、多くの医療従事者が失職しているほか、何カ月も適切な給与支払いを受けていない従事者もいるという。

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