富士通が円安で売上予想を増額、携帯事業は通期350億円の赤字へ

富士通が円安で売上予想を増額、携帯事業は通期350億円の赤字へ
1月30日、富士通は、円安進行による為替想定の見直しで、2014年3月期の連結売上高予想を4兆6800億円(従来予想は4兆6200億円)に増額すると発表した。写真は2012年6月、都内で撮影(2014年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 30日 ロイター] - 富士通<6702.T>は30日、円安進行による為替想定の見直しで、2014年3月期の連結売上高予想を4兆6800億円(従来予想は4兆6200億円)に増額すると発表した。
ただ、スマートフォン販売が大幅に減少していることなどから、営業利益予想は据え置いた。不振の携帯事業の赤字は通期で350億円になる見込み。
通期の営業利益予想は1400億円。トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト18人の予測平均値1383億円と同水準。当期純利益の予想も450億円で据え置いた。
円安進行を背景に、1―3月期の為替レートを、ドル100円(従来93円)、ユーロ135円(同120円)、英ポンド160円(同140円)に見直した。これにより、海外のIT(情報通信)サービスや半導体事業の売上高が膨らむ。
<携帯販売を下方修正、構造改革を発表>
スマホが売れず、通期の携帯電話の販売台数は370万台(従来計画420万台)に下方修正した。NTTドコモ<9437.T>のiPhone販売の影響が想定以上に響く。前年度の650万台から大幅減で、10―12月期の同事業は90億円の赤字となり、通期で350億円の赤字を計上する。
前期の同事業は100億円強の黒字だった。加藤和彦専務は「販売台数が4割落ちたので、コストも4割落とさなければ事業を続けられない」と述べた。同日、携帯電話事業の構造改革として、国内の携帯電話工場2拠点を4月1日付で、兵庫県加東市の1工場に集約すると発表。月30万台以下の販売でも利益が出るまで事業規模を縮小し、来期以降の黒字化を目指す。
携帯電話の不振は続いているが、加藤専務は「携帯事業は継続する」と強調。NTTドコモ向けの販売では6割がアイフォーンに占められているが、残り4割の市場を、富士通、ソニー<6758.T>、シャープ6753.T>の日本メーカーと韓国サムスン電子<005930.KS>の4社で奪い合う構図になっていると指摘。「この4割から一定量はとれる」(加藤専務)とみているという。
一方で、パソコンの販売は、ウィンドウズXPのサポート終了などを背景に法人の買い替え需要が増加したことで、今期の販売計画を570万台(従来計画550万台)に上方修正した。
<システムLSI統合、年度内にも発表>
システムLSI(大規模集積回路)の設計開発部門をパナソニック<6752.T>の事業と統合して新会社を設立する構想について加藤専務は「3月末までに発表できるように努力している」と述べた。
一方で、同社の半導体の生産拠点、三重工場(三重県桑名市)を売却する計画については、台湾積体電路製造(TSMC)<2330.TW>との交渉が難航。このため「TSMC以外の会社といろいろな話し合いをしている」と述べ、売却実現には時間がかかるとの認識を示した。
(村井令二 編集:田中志保)
*内容をさらに追加して再送します。

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