原子力は2050年もエネルギーとして存在=GE会長

原子力は2050年もエネルギーとして存在=GE会長
10月22日、米GEのイメルト会長兼CEOは、「2050年になっても原子力がエネルギーとしてなくなることはない」との見通しを示した。写真は3月撮影(2013年 ロイター/Mike Segar)
[東京 22日 ロイター] - 米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフリー・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)は22日、「2050年になっても原子力がエネルギーとしてなくなることはない」との見通しを示すとともに、パートナーの日立製作所<6501.T>と原子力事業を続けていく方針を示した。
都内のホテルで行われた世界経営者会議のスピーチで語った。
東京電力<9501.T>福島第1原子力発電所の事故に関しては、東日本大震災以来続けている東電や関連企業、地元住民などへの支援を「今後もしていく」と述べた。
日本経済に対しては、安倍晋三首相が進めているアベノミクスの3本の矢が「非常に大きな有望な光を与えている」と語り、「東京五輪は第4の矢として長期的な成長につながる」と期待を寄せた。安倍首相については「複雑で難しい課題に対してやりやすいところから手掛けたところがわかりやすい」と評価した。
また、日本の企業は材料技術が優れており、燃料電池や蓄電池などの分野で「日本企業を技術パートナーとして持つべきで、活用したい」との意向を示した。
<製造業も「情報分析」を競争力に>
一方、イメルト会長は、これから企業が競争力を持つ上で、「天然ガスの時代」「インダストリアル(産業的な)・インターネット」「製造業の高度化」「ローカライゼ―ション(現地化)」の4つが重要な影響をもたらすとの考えを説明した。米国で割安なシェールガスの生産が増える中、「天然ガスの時代が来ている」と指摘。発電や輸送などに用途が広がり、商機につながるとの見解を示した。
さらに、「物理的な世界(モノ造り)とアナリティカル(情報分析)の融合が進んでいる」とも指摘。製造業の本質が変化しており、競争力を持つためには「すべての産業・企業がアナリティカルな企業にならなければいけない」と強調した。
例として、GEの扱うガスタービンやジェットエンジンなどすべての製品に複数のセンサーがついており、データを収集していることなどを挙げ、「ジェットエンジンの燃費を1%ほど改善できれば、顧客にとって30億ドルほどのプラスになる。これは物理的なことだけでできることではなく、常に入ってくるジェットエンジンからのデータを使ってモデリングをする」と説明。製品の状態や稼働状況を分析する「インダストリアル(産業)・インターネット」が顧客サービスにつながり、競争力を向上させると語った。
また、「製造業が人件費の安い場所を探す時代は終わった」と指摘し、新素材の開発やサプライチェーンの革新などで「造りたいと思うものが造っていけるようにする」という高度な製造業がこれからの時代には求められているとした。
4つ目の点として、イメルト会長は「グローバリゼーションは、裏返せばローカライゼーション(現地化)」と語り、「世界で成功したいのならば、ローカライズが重要」として、活躍の場が世界に広がれば広がるほどローカライゼ―ションを徹底した企業が成長できるとの考えを示した。
(ロイターニュース 白木真紀)
*内容を追加し、見出しを変えて再送します。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab