ドル6週間ぶり97円割れ、日経平均下げ拡大でシステム系の売り

ドル6週間ぶり97円割れ、日経平均下げ拡大でシステム系の売り
8月7日、東京外為市場午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点と比べ、ドル安/円高の97円付近。都内で2010年9月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 7日 ロイター] - 東京外為市場午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点と比べ、ドル安/円高の97円付近。日経平均株価<.N225>の下げ幅が500円を超えるなか、投機筋が売り圧力を強め、一時6月25日以来約6週間ぶり安値となる96.98円まで下落した。
日足/一目均衡表の雲の下限に加え、サポートラインとみられていた97.50円も割り込んだことで、市場では下値が見えにくくなっている。
<システム系の売り>
ドル/円はサポートラインとみられていた97.50円を割り込んだことで、下げが加速。ストップを巻き込みながら、午前8時半に一時97.09円まで下落した。その後97円半ばを回復する場面もあったが戻りは鈍く、日経平均株価の下げ幅が500円を超えると、システム系の売り圧力が強まり、6週間ぶり安値となる96.98円まで下落した。
この日は積み上がったドルロングの解消に加え、新たな売りも観測された。市場では「短期筋は下向き目線になっており、ショートから入っている。朝方に97.50円のストップをやったことで、次のサポートラインが見えにくくなった」(大手邦銀)と警戒する声が目立つ。7月下旬の下落局面では、国内機関投資家の買いが相場を支えたが、足元では「買い意欲のある機関投資家も躊躇(ちゅうちょ)している」(同)という。
上田ハーローの森宗一郎氏は「ドル/円は日足/一目均衡表の雲も下抜けており、97円を維持できなければ、6月13日の安値93.75円から7月8日の高値101.54円の61.8%調整である96.70─80円まで下がってもおかしくない」との見方を示した。
もっとも、市場では今回のドル/円の下落に関して「日経平均株価は下がっているが、米金利はそれほど下がっておらず、ダウの位置などをみても、それほどリスクオフに傾いているわけでもない」(大手邦銀)と首をかしげる向きも少なくない。
この関係者は「テクニカル面以外で、下落の裏付けとなる材料があまりない中で、本当に下をやるのか」と疑問を呈しつつも、テクニカル的には「ウィークリーで考えると、一目均衡表の基準線が位置する97.30円付近を週末に維持できるかどうかが焦点となる。6月に急落して93円台をやったときもそこで止められて戻ってきた。これを割り込むと下値は93円や90円くらいまで広がってしまう」と警戒感を示した。
投機筋の売買に翻弄されるなか、市場で中長期的視点に立ったマネーの動向に注目が集まっているが、参加者からは「海外リアルマネーの中には5月22日の103.74円がトップで、戻ったところは売りという目線でみているところもある。昨年12月から買っていた人達の一部は、100円とか戻ったところは少しずつ売っている」(大手邦銀)と冷めた声が聞かれた。
FX会社の関係者は「96円割れ、95円割れというような展開にはならないと思うが、8月は流動性が低下するので注意が必要だ」と指摘している。
(ロイターニュース 志田義寧)

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