ドル/円は新たな方向感模索へ、FRB議長の議会証言が焦点

ドル/円は新たな方向感模索へ、FRB議長の議会証言が焦点
7月12日、来週の外為市場で、ドル/円は新たな方向感を模索する展開となりそうだ。写真は2010年9月、都内で撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 12日 ロイター] - 来週の外為市場で、ドル/円は新たな方向感を模索する展開となりそうだ。日本時間11日早朝のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長のハト派発言で98円前半まで急落したが、この過程でドルロングの解消が進んだ。
同議長の議会証言などの重要イベントをこなしつつ、新規のポジションがどう構築されるかがポイントになるとみられている。
予想レンジはドル/円が97.50―101.00円、ユーロ/ドルが1.2950―1.3250ドル。
日本時間11日早朝、バーナンキFRB議長のハト派発言でドルは全面安。ドル/円は98.20円まで下落して6月27日以来の安値をつけた。ユーロ/ドルは1.3208ドルまで急伸し、6月21日以来の高値となった。
ドルが急速に下落するなかで、蓄積していたドルロングが解消された。ドルの上昇トレンドに追随して、ポジションを作っていた一部の市場参加者は損切りを余儀なくされ、「戦意」を喪失。12日の東京市場では、午後に入ると主要通貨ペアが総じて小動きとなった。ドル/円、ユーロ/ドルともバーナンキ議長の発言後につけた高値と安値のほぼ真ん中付近でもみあいとなり、市場関係者は「方向感が見えない」と口をそろえた。
17日から、バーナンキFRB議長の議会証言が行われる。外為どっとコム総研の神田卓也調査部長は、議会証言の内容について「5月の議会証言と6月のFOMC後の発言と11日の発言とでトーンが異なるので、予想は難しい」と話す。ただ、同じ議会証言の場ということを考えれば、5月の証言後に米国経済がFRBの想定を下回っているかと言えばむしろ反対なので、今回の議会証言では11日のようなハト派発言は出ないのではないか、と予想している。
一方で、大手邦銀関係者は、ポジションが軽くなったことで「イベントがあっても大きな方向性が出るとの期待はできない」とする。FRB議長の議会証言以外には、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が予定されているが、バーナンキ議長は欠席するため、ドル/円の方向感には影響しないとみている。
21日には参院選の投開票が行われるが、自民党の大勝予想は織り込まれており、ドル/円のサポート要因にはなってもドル/円を押し上げることは見込みにくいという。
6月米雇用統計後、FRBによる早期の緩和縮小観測が強まったが、欧州中央銀行(ECB)は米雇用統計の発表前日にフォワード・ガイダンス(将来の政策指針)を導入してハト派スタンスを鮮明にし、米欧の金融政策の方向性の違いを印象付けるのに成功したかに見えた。
しかし、バーナンキ議長のハト派発言でユーロ/ドルは急伸。大手証券関係者は、今は米欧の金融政策のスタンスの違いという「単純な図式」では動きにくいと話す。来週のユーロ/ドルは「ちょっと動き出すとそちらの方向に傾いてしまう、方向感がわかりにくいからこその値動きになりそうだ」という。
(ロイターニュース 為替マーケットチーム)

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