EU財務相、銀行破綻処理の損失負担ルールで合意

EU財務相、銀行の破綻処理費用の負担めぐる新ルールで合意
6月27日、 EU財務相は、銀行の破綻処理費用の負担方法をめぐる新たなルールで合意した。写真はEU旗。ブリュッセルで2010年10月撮影(2013年 ロイター/Francois Lenoir)
[ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)財務相は27日未明、7時間に及ぶ協議の末、銀行の破綻処理費用の負担方法をめぐる新たなルールで合意した。銀行が経営破綻した場合、株主、債券保有者、10万ユーロ(13万2000ドル)を超える預金者に対して損失負担を求めることが新たに規定される。
オランダのダイセルブルーム財務相は「われわれは初めて、納税者を保護するための重要なベイルイン(破綻した銀行の株主と債券保有者に最初に損失を負担させる方法)で合意した」と述べた。
新ルールで、預金者は預金を失わないとしてきた欧州のタブーが破られる。ただ、各国は破綻した銀行の債権者に損失負担を求める時期と方法の決定において若干柔軟性が認められる。
ドイツのショイブレ財務相は会合後、「新ルールは世界の他の投資家に対してと同様、ドイツの預金者にも影響する可能性がある」と述べた。
ユーロの存続を脅かすほどユーロ圏全域に拡大した金融危機で、欧州の納税者は不本意ながらも多額の銀行救済費用の負担を強いられてきた。EUは2008─11年のあいだ、域内総生産の3分の1に相当する額を域内銀行の救済に充て、税金を投入してきたが、危機の封じ込めには至っていない。
今回の合意で、3月のキプロス支援で使われた預金者に損失負担を強要する手法がどこでも適用される可能性がある。
新たなルールは2018年までに実施され、各国には銀行の負債の最大8%に相当する損失の分配が義務づけられる。
フランスのモスコビシ経済・財務相は、欧州安定メカニズム(ESM)をユーロ圏の銀行救済に使えるようにすべきとする同国の主張に欧州の財務相が合意したことを示唆した。同相は記者団に「これによりすべてが一貫性を持つ」と述べた。
欧州は今後、ユーロ圏の銀行の監視と支援を一元化する「銀行同盟」という次の議論の柱に移ることができる。
ただ、厄介な問題が待ち受けている。特に、経営難の銀行の閉鎖や再編の最終的な決定権を各国が有するべきか、それとも欧州の一元化された監督機関が有するべきか、という問題だ。
当局者によると、EUの行政執行機関である欧州委員会は、この「執行役」を担う新たな機関について、早ければ来週にも提案を行う見通し。
ブリュッセル拠点のシンクタンク、ブリューゲルのニコラス・ベロン氏は、銀行再編の決定がどのようになされるかという最も重要な協議はまだ始まっておらず、欧州が団結していると語るのは時期尚早、との考えを示した。
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