独VW・ダイムラーが大幅減益、市場低迷が健全企業にも波及

独VW・ダイムラーが大幅減益、市場低迷が健全企業にも波及
4月24日、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)とダイムラーが発表した第1・四半期決算はともに大幅減益となった。19日撮影(2013年 ロイター/Carlos Barria)
[ベルリン 24日 ロイター] ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)とダイムラーが24日発表した第1・四半期決算はともに大幅減益となり、ダイムラーはこの半年間で2度目となる利益目標の撤回を行った。
欧州自動車市場が低迷するなか、顧客獲得に向けた値下げ競争の激化で、これまで比較的健全だったメーカーの利益にも影響が及び始めた。
欧州自動車販売は6年連続で減少し、20年ぶりの低水準に落ち込む見通しだが、アナリストは販売低迷が今後数年続く可能性があるとみている。
VWは、昨年の低迷をおおむねうまく切り抜けてきたが、厳しい営業環境下で競争がますます激化しているとし、「競争激化やそれに伴う事業への影響から完全に逃れることはできない」との認識を示した。
ただ今年の営業利益については、過去最高となった昨年実績の115億ユーロ(149億4000万ドル)に並ぶとの目標を維持。販売台数で過去最高を更新するとの目標も据え置いた。
一方、ダイムラーは今年の継続事業ベースの利払い・税引き前利益(EBIT)が、昨年の81億2500万ユーロを下回る見通しとし、わずか9週間前に掲げた目標を撤回した。
ダイムラーのディーター・ツェッチェ最高経営責任者(CEO)は「西欧をはじめ、多くの市場が経済上の理由で予想を下回った」と指摘した。
VWグループの12ブランドの3月販売台数はほぼ横ばいだったが、主力のVWブランドは3月に納入数が約3年ぶりに減少した。
VWブランドは販売の伸びを維持するため値下げへの依存を強めているとみられる。VWのディーラーはロイターに対し、コンパクト・スポーツ・ユーティリティー・ビークル(SUV)の「ゴルフ」や「ティグアン」などのモデルは6月30日まで続く予定の特別値下げプログラムの下で2月以降販売されていると明らかにした。
VWの第1・四半期営業利益は23億4000万ユーロ(30億5000万ドル)と、前年同期の31億6000万ユーロから大きく減少した。長引く欧州市場の低迷が利益を圧迫した。 ただ22億9000万ユーロ程度を見込んでいた市場予測は上回った。
ダイムラーの第1・四半期の継続事業ベースEBITは9億1700万ユーロ(11億9000万ドル)で、アナリスト予想の下限だった9億3000万ユーロを下回った。欧州自動車市場の低迷に加え、中国で同業他社に遅れをとっていることが響いた。
ダイムラーのツェッチェCEOは、下半期の業績は上半期を上回るとの見通しを示した。新型の「Sクラス」や「CLA」など、モデルチェンジやコスト削減が寄与する見込みという。
仏PSAプジョー・シトロエンの第1・四半期は6.5%の減収。同社は、経営再建目標を達成するため、コスト削減で労組にさらに譲歩を求めるとしている。

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