日銀、国債買入一本化と無期限緩和の前倒しを検討へ

日銀、国債買入一本化と無期限緩和の前倒しを検討へ
3月27日、日銀は次回の金融政策決定会合で、黒田東彦総裁(写真)ら新執行部体制の下で質・量両面から大胆な金融緩和を進めるため、金融政策運営の枠組みや緩和の規模などを議論する。写真は21日、都内で撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 27日 ロイター] 日銀は次回の金融政策決定会合で、黒田東彦総裁ら新執行部体制の下で質・量両面から大胆な金融緩和を進めるため、金融政策運営の枠組みや緩和の規模などを議論する。
新たな枠組みの下で緩和手段の柱となる長期国債買い入れについては、資産買入基金と金融調節上の必要性から実施している「輪番オペ」の一本化を検討する。2014年から予定されている期限を定めない資産買い入れ(オープンエンド方式)も前倒しで導入する方向だ。複数の関係筋が語った。
黒田東彦総裁は26日の衆院財務金融委員会で、基金と輪番オペでそれぞれ実施されている長期国債買い入れを「わかりにくい」とし、一本化も「検討に値する」と明言した。現行「1年以上、3年以下」となっている基金の国債買い入れ対象を、年限の制約がない「輪番オペ」に合わせることで、「イールドカーブ全体を下げていく」(黒田総裁)ことが狙いだ。3月6、7日に行われた金融政策決定会合では、白井さゆり審議委員が統合案を提案して反対多数で否決されているが、2月会合の議事要旨からは複数の委員が選択肢と指摘していることが明らかになっている。黒田総裁の前向きな発言を受け、新体制下で初となる次回会合で統合が検討対象となる可能性が大きい。ただ、統合は基金の存廃など金融政策運営の枠組み見直しに直結するため、次回会合でどこまで詳細を詰められるか、不透明な部分もある。
基金による国債買い入れは、長めの金利を押し下げる金融緩和が目的で、2013年末に44兆円まで残高を積み上げる計画。一方、輪番オペは基金とは別に資金需給を均す金融調節の一環との位置づけで、月間1.8兆円、年間21.6兆円を購入している。統合した場合の買い入れ方式は、利付国債について現行の輪番オペで実施している「利回較差入札方式」が有力。
また、統合に伴い、日銀による国債購入が財政ファイナンス(穴埋め)とみなされないよう、輪番オペに設定されている「銀行券ルール」の扱いについても議論は避けられない。同ルールは、日銀保有の国債残高を銀行券の発行残高以内に抑える歯止めの役割を果たしているが、基金と輪番オペを合わせた国債保有残高はすでに銀行券発行残高を超過している。
国債買い入れの統合に合わせて、2014年から導入予定のオープンエンド方式による資産買い入れの前倒しも検討する。金融資産を毎月一定額、期限を定めずに購入し続けるもので、1月の金融政策決定会合で導入を決めたばかり。導入前倒しで、緩和の規模を毎月の買い入れ額である「フロー」で示す案も浮上しているが、黒田総裁は金融政策の効果をみるにはフローよりも、「ストックがどう動くかということが、イールドカーブを下げるのに重要な要素」と指摘している。このため、過去に日銀に実施した当座預金残高のほか、日銀のバランスシート、マネタリーベースなどもターゲットに浮上する可能性がある。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab