大飯原発は新基準導入後も運転継続へ、9月以降に原発ゼロも=規制委

大飯原発は新基準導入後も運転継続へ、9月以降に原発ゼロも=規制委
3月19日、原子力規制委員会は、7月に予定している原発新安全基準の施行に向けた「基本方針案」を提示した。写真は全国で唯一稼働している関西電力の大飯原発。福井県で昨年1月撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)
[東京 19日 ロイター] 原子力規制委員会は19日、7月に予定している原発新安全基準の施行に向けた「基本方針案」を提示した。全国で唯一稼働している関西電力<9503.T>大飯原発(3、4号機)は9月に予定している定期検査までは運転可能とする内容だ。
規制委の田中委員長は「大飯が定期検査に入るまでに他の原発が起動できない気がするので、(再び原発)稼動ゼロになるかもしれない」とも指摘した。
同方針案は、田中委員長の「私案」として同日午前の委員会に提出され、了承を得た。同案では、「(新基準)導入直後の定期検査終了時点で、運転を再開しようとするまで規制の基準を満たしているかどうか判断する」と明示。大飯原発の場合、9月の定期検査後に再稼動の可否が判断されるとの見解といえる。
新安全基準は法律に基づき7月に施行され、同基準により規制委が再稼動の可否を判断する。午後の記者会見で田中委員長は、新基準導入後も大飯3、4号機はしばらくは同基準を満たさないまま稼働を継続することについて、「施行と基準対応を求める期間には現実的な裕度を持たせる」などと理由を語った。田中氏は、新基準施行後も大飯原発の稼働継続を容認することについて「政治的な判断は全くない」と強調した。
同案では、規制委が再稼動を審査する時点で実施を求める安全対策と、新基準導入から5年後までに実現を求める対策とに分類。各原発ごとに、過去最大を上回るレベルの「基準津波」に耐える防潮堤の設置は再稼動時に求める方針を確認した。
原子炉安全を担当する規制委の更田豊志委員は、緊急時に蒸気を排出する際に放射性物質を除去する「フィルター付きベント」を沸騰水型軽水炉(BWR)には義務付ける一方で、加圧水型軽水炉(PWR)の場合は、再稼動時点での設置を求めないとの方針を委員会で示した。国内原発に未導入のフィルター付きベント設置には2─3年間を要するとみられ、猶予が認められないBWRの再稼動はPWRに比べ遅れることが濃厚だ。
地域独占9電力のうち、BWR採用は東京電力<9501.T>、中部電力<9502.T>、東北電力<9506.T>、中国電力<9504.T>、北陸電力<9505.T>の5社。PWRは関西電力、九州電力<9508.T>、北海道電力<9509.T>、四国電力<9507.T>の4社。
(ロイターニュース、浜田健太郎)

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