伊総選挙は「最悪の結果」との声、イタリア株・債券は下落へ

伊総選挙は「最悪の結果」との声、イタリア株・債券は下落へ
2月25日、イタリアの総選挙は開票の結果、安定多数を確保する会派がいない「ハングパーラメント(中ぶらりん議会)」となる公算。市場関係者からは「想定し得る最悪の結果」との声も上がっている。写真はローマ市内の選管事務所(2013年 ロイター/Yara Nardi)
[ミラノ 26日 ロイター] イタリアの総選挙は開票の結果、安定多数を確保する会派がいない「ハングパーラメント(中ぶらりん議会)」となる公算。市場関係者からは「想定し得る最悪の結果」との声も上がっており、26日のイタリア株・債券は売られると予想される。
イタリア内務省によると、開票率99.9%時点で、下院はモンティ前首相の緊縮・改革路線を継続するとみられるベルサニ氏率いる中道左派が過半数を確保。上院は、中道左派が、ベルルスコーニ氏率いる反緊縮の中道右派を上回る議席を獲得するのが確実なものの、過半数には達していない。
ユーロ圏3位の経済規模を持つ国の財政・経済建て直しに向けた強いリーダーシップを期待していた投資家にとっては衝撃だ。
シティのグローバル金利部門ヘッド、アレッサンドロ・テントリ氏は「市場の見地で想定し得る最悪の結果」と述べ、イタリア国債売りは必至と予想。
さらに「再選挙は不可避とみられる。最も懸念させられるのは、グリッロ氏の健闘と棄権率の高さ。基本的に国民の半数が古い政治システムや、痛みを強いるだけの改革にうんざりしているということだ」と指摘した。
今回の選挙では、ユーロ圏圏離脱などを主張するコメディアンのグリッロ氏の会派「五つ星運動」が、既存政党に嫌気が差した有権者の票を集め躍進した。
<懸念は世界中に伝播>
イタリア政局をめぐる不安は25日のうちにユーロ圏危機再燃への懸念も台頭させて、国際金融市場に波及。米国株が急反落し、NY外為市場ではユーロが売られた。
当のイタリア市場も乱高下した。最初の出口調査で改革派の中道左派が若干リードと伝わると株が上昇したが、その後出てくる出口調査や開票速報でベルルスコーニ氏の中道右派が予想以上に票を伸ばしていることが明らかになると、上げ幅を大きく縮めた。一時4%上昇していた主要株価指数<.FTMIB>は0.7%高で終了した。
今週は重要なイタリア国債入札が予定されている。まず26日に6カ月物短期国債入札(発行予定額87億5000万ユーロ)が行われる。前回入札では利回りが0.73%だったが、今回は0.85%程度に上昇する見込み。
注目は27日の5年債と10年債の入札だ。政府は 5年債で17億5000万─25億ユーロ、10年債で30億─40億ユーロの調達を目指している。
イタリア国債の対独連邦債利回りスプレッドは25日の取引終了時点で283ベーシスポイント(bp)だったが、IHSグローバル・インサイトのエコノミスト、ラジ・バディアニ氏は「スプレッドは27日に350bpに向けて拡大する可能性がある。27日の入札で10年債利回りは大幅に上昇するとみられる」と述べ、今後2─3カ月、イタリア国債は政治材料に左右される不安定な展開を予想している。
株式市場も26日は荒れると予想されている。25日の先物取引がかなり膨らんだからだ。
ミラノ証券取引所のトレーダーは「これまでみられていたトレンドを確認する結果となった場合、われわれは統治不能な状況にあるということになる。6月に再選挙があるとしても、不確実性は高い」と指摘した。

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