焦点:為替ストラテジスト、今年は軒並み予想が大外れ

焦点:為替ストラテジスト、今年は軒並み予想が大外れ
2月19日、今年は外為市場の動きが目まぐるしいため、多くのストラテジストが予想を外している。都内で2009年11月撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)
[ロンドン 19日 ロイター] 今年は外為市場の動きが目まぐるしいため、多くのストラテジストが予想を外している。 新年に示された予想レンジは数日中に破られた。相場の方向性自体を間違えたストラテジストもいる。
ユーロ/ドルとドル/円の1月終値は、ロイター調査に参加した53行すべての予想レンジからいずれも大きく外れていてた。
最も大きく動いたのは円で、日銀の積極的な金融緩和を予想して年初の予想よりずっと急スピードで下落。1月のロイター調査では、1年後のドル/円相場の予想中央値は87円80銭となっていた。
ストラテジストらは2月までに予想を94円40銭に修正せざるを得なくなったが、2月11日にこの水準は破られた。
ユーロ/ドルの1月終値は1.36ドル近辺で、ロイター調査のレンジ1.27─1.3450ドルから大きく外れた。
<沽券の問題>
数百万ドルを賭けるトレーダーと異なり、ストラテジストにとって唯一の問題は沽券だ。もっとも、いつまでも予想を外し続けることは許されないかもしれないが。
HSBCの通貨ストラテジスト、ダラグ・メーハー氏は「相場が予想と違う方向に動けば面白くない。予想を修正すると行内でも行外でも残念に思われる」と話す。
HSBCのストラテジストチームは今月、1年後のドル/円予想を74円から80円に引き上げた。他の多くの銀行は100円に向かうと予想している。
大半のストラテジストにとっては、相場予想の根拠として良い「ストーリー」を示すことの方が、具体的な相場水準を当てるよりも重要だ。
メーハー氏は「予想の修正は特定の相場を狙ったものなのか。それは違うと思う。ビュー(考え方)を変えたのだ。われわれは人々が儲ける手助けをして報酬をもらっている。正しく、興味深いストーリーを示すことはその一部だ」と話した。
多くの予測モデルは各通貨ごとに特定の変数を用いている。三菱東京UFJ銀行はニュージーランドドルの予想に乳製品価格を取り入れている。ニュージーランド経済における農業の支配的な役割を反映したものだ。
同行は円については日米の国債利回り差など、より伝統的な物差しを用いている。同行は昨年、ロイターの月次為替予測調査で首位となったが、今年はドル/円の上昇スピードに追い付けず、1年後の相場予想を1月の86円から2月は93円に引き上げた。
三菱東京UFJ銀行のグローバル通貨調査欧州ヘッド、デレク・ハルペニー氏は「これらのモデルが破綻した。多くの変数は今回の相場の動きを知らせてくれなかった」と語った。
(Nia Williams記者)

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