中国は危険領域に入りつつある=バブル崩壊の可能性で日銀副総裁

中国は危険領域に入りつつある=バブル崩壊の可能性で日銀副総裁
8月21日、日銀の西村副総裁は、シドニーでオーストラリア準備銀行(RBA)・国際決済銀行(BIS)共催コンファランスに出席し、日米中の住宅価格高騰と人口動態などの相関について講演した。写真は2010年11月、北京で撮影(2012年 ロイター/Petar Kujundzic)
[シドニー/東京 21日 ロイター] 日銀の西村清彦副総裁は21日、シドニーでオーストラリア準備銀行(RBA)・国際決済銀行(BIS)共催コンファランスに出席し、日米中の住宅価格高騰と人口動態などの相関について講演した。
西村副総裁は、中国の急激な住宅価格上昇を踏まえ、少子高齢化などの人口動態の変化と「不動産バブル、住宅ローン急増が一致すると、金融危機が発生しやすくなる」と指摘。「中国は『危険領域』に入りつつある」と警鐘を鳴らした。
金融引き締めなど金融政策でバブルを未然に防ぐ場合、「一時的にしかバブルの拡大を止められないこともある」と有効性に慎重な見方を示した。差し迫った経済・金融危機に直面していない国民に対して政策担当者がバブルの危険性を説得するのは難しいため、バブルの原因である楽観的な見通しに対し「公的部門もしばしば責任がある」と指摘した。
バブルが進んだ段階で金融引き締めの発動が遅れると、崩壊が遅らせ結果として大規模な崩壊を招くリスクがあるとした。一方、大胆な引き締め策が経済を過剰に殺す可能性についても懸念を示した。
少子高齢化が急速に進む社会では「伝統的な政策手段の有効性が損なわれる」とも指摘。悪性のバブルが崩壊する過程で何が適切な政策かは「ほとんどわからない」と述べ、政策担当者にとって喫緊の課題だと強調した。
講演は英語で行われた。
(ロイターニュース 竹本能文:編集 内田慎一)

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