ロイター6月企業調査:長期金利低下にメリットなしが7割

ロイター6月企業調査:長期金利低下にメリットなしが7割
6月22日、6月ロイター企業調査によると、日銀が長期金利低下を促すために国債買い入れを増額していることについて、長期金利低下のメリットはないとの回答が半数を超えた。2010年9月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 22日 ロイター] 6月ロイター企業調査によると、日銀が長期金利低下を促すために国債買い入れを増額していることについて、長期金利低下のメリットはないとの回答が半数を超えた。
資金調達を市場に頼っている企業が少ないことが背景にある。むしろ、巨額の国債を日銀が保有することに問題意識を感じている企業が多いことも浮き彫りとなった。
この調査はロイター短観と同時に同じ400社を対象に実施。調査期間は6月1日─6月18日。回答は270社程度。
調査結果によると、長期金利の低下がプラスと回答した企業は全体の29%にとどまり、特に影響はないとの回答が65%、マイナスとの回答が6%と、合計71%の企業は長期金利低下にメリットを感じていないことが明らかとなった。その背景には「外部からの資金調達は不要」(機械)、「設備投資の判断は長期金利水準とは無関係」(電機)など、企業に負債が少なく、内部留保が潤沢となっていることがある。また「ここまで低下した金利がさらに下がっても効果は限定的」(化学)との声もある。むしろ、マイナスの影響として「資金運用利回りが低下する」(石油)、「薬を与えすぎて経済が疲弊するだけ」(不動産)、「かえってデフレを招き縮小均衡となる」(小売り)といった問題意識を指摘するコメントも数多く寄せられた。
日銀が巨額の国債を買い入れていることの弊害として「財政ファイナンス」と受け止められる懸念について「問題はない」との回答は18%と少なく、「問題だと思う」が20%、「どちらともいえない」が61%となった。問題意識として「財政再建が遠のくことにつながる」、「次世代の負担が大きくなる」との懸念のほか、「国債暴落や金利急上昇につながる」、「国債暴落時に中央銀行としてどうするのか」といった指摘もあった。同様に「貨幣の信用性を損なうことになる」、「中立性からみて問題がある」とのコメントも寄せられた。
(ロイターニュース 中川泉)

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