急成長する中国の高級品市場、ヴィトンは時代遅れに

急成長する中国の高級品市場、ヴィトンは時代遅れに
6月7日、中国の富裕層の間では、ルイ・ヴィトンやグッチなどは「人気があり過ぎ」と敬遠され、シャネルやエルメスなどが、より「上品」なブランドとして好まれる傾向が強まっているという。写真は4日、上海で撮影(2012年 ロイター/Carlos Barria)
[上海 7日 ロイター] 世界第2位の経済大国になった中国は、国内高級品市場の規模も1600億元(約1兆9800億円)以上と世界3位にまで成長した。向こう3年以内にその規模は1800億元に達し、日本と米国を抜いて世界最大の高級品市場になるとみられている。
仏LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)や仏PPRの高級ブランド部門グッチなどにとって、中国市場の重要性は疑問の余地がない。
コンサルティング会社べインによると、昨年は欧州が債務危機に陥ったり、米国の景気が低迷したりするのを尻目に、中国高級品市場の堅調ぶりが際立った。2012年の高級品市場の成長率でも、欧米や日本が1桁台にとどまると予想される一方、中国は18─20%の高い伸びになりそうだという。
一方、規模の拡大に伴って市場は成熟しつつあり、消費者も単なるぜいたく品志向から、選択眼を磨いた本物志向になりつつあるという。ボストン・コンサルティング・グループのビンセント・リュー氏は、これまでは中国の消費者は雑誌に掲載されている通りの高級品を買い求める傾向があったが、「今後はより目が肥えてくる」と指摘。「いつどこでどんなブランドを使い分けるか」に意識が向いていると述べた。
こうした消費者の嗜好(しこう)の変化に伴い、中国の富裕層の間では、ルイ・ヴィトンやグッチなどは「人気があり過ぎ」と敬遠され、シャネルやエルメスなどが、より「上品」なブランドとして好まれる傾向が強まっているという。
チャイナ・マーケット・リサーチ・グループのマネージングディレクター、ショーン・レイン氏は「本物の富裕層は、ルイ・ヴィトンやグッチはありきたりだとして買い求めなくなるだろう。金持ちはますます裕福になり、彼らは人と違うものを求めるようになる」と述べた。
ルイ・ヴィトンのバッグ「モノグラム・スピーディ」は、これまで長い間、中国の女性が最も憧れるバッグの1つだった。しかし、中国国内のルイ・ヴィトンの店舗数が約40店舗に拡大するなか、ブランドの威光は一部で失われつつある。
ロイターが取材した匿名の小売りコンサルタントによれば、「中国では、ルイ・ヴィトンは家政婦でも買えるブランドだと見られている」という。
ルイ・ヴィトンはロイターの取材に対し、来月に上海の商業施設「恒隆広場 (プラザ66)」でオープンする新店舗を通じ、ブランド競争でさらに一歩リードできると期待していると回答。「プラザ66店は、ヴィトンが中国で流行発信ブランドであることを確かめることになる」と述べた。
グッチからのコメントは今のところ得られていない。

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