イタリア豪華客船事故、クルーズ船業界は「泣きっ面に蜂」

イタリア豪華客船事故、クルーズ船業界は「泣きっ面に蜂」
 1月15日、イタリアの大型豪華客船コスタ・コンコルディアが座礁した事故は、同客船の運航会社のみならず、すでに強い向かい風にさらされているクルーズ船業界全体にも打撃を与える可能性がある。写真は座礁した同船(2012年 ロイター/Max Rossi)
[ミラノ 15日 ロイター] イタリアの大型豪華客船コスタ・コンコルディアが座礁した事故は、同客船の運航会社のみならず、すでに強い向かい風にさらされているクルーズ船業界全体にも打撃を与える可能性がある。
乗客乗員4000人以上を乗せたコスタ・コンコルディアは13日夜、イタリア中部のジリオ島付近で座礁。これまでに少なくとも5人の死亡が確認されている。
全長290メートルの同客船は、世界最大のクルーズ船運航会社カーニバル傘下のコスタ・クロシエレが所有し、グループが欧州クルーズ船市場で持つ主要資産の一角を占める。
今回の事故は、同社にとって最悪のタイミングで起きたと言える。世界的な経済危機の影響で、豪華客船の潜在顧客は自分たちの雇用や懐具合に不安を抱えており、事故発生前もクルーズ船業界には逆風が吹いていたからだ。
モーニングスターのアナリスト、ジャイム・カッツ氏は「欧州の経済市場が苦しみ、中東が混乱するなか、事故は(業界にとって)泣きっ面に蜂になる」と指摘した。
世界のクルーズ船市場の主要プレーヤーであるカーニバルは昨年12月、債務危機に揺れる欧州での需要減退を理由に、2012年の乗船料金を引き下げていた。
クルーズ船業界は過去40年にわたり、世界で急激に成長してきた。
イタリアの観光業界シンクタンクの報告書によると、クルーズ船の利用者数は1970年代初めには50万人だったが、1990年には10倍の約500万人になり、2010年には約1900万人にまで増えた。また、国際クルーズ船協会(CLIA)の調査では、向こう3年間のクルーズ船の潜在顧客が、北米では50万人程度いることも明らかになっていた。

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