景気判断を上方修正、再生相「実体あれば株価ついてくる」

景気判断を上方修正、再生相「実体あれば株価ついてくる」
6月13日、政府は6月の月例経済報告で、景気は「着実に持ち直している」として、基調判断を2カ月連続で上方修正した。写真は甘利明経済再生相。ダボスで1月撮影(2013年 ロイター/Pascal Lauener)
[東京 13日 ロイター] - 政府は13日に発表した6月の月例経済報告で、景気は「着実に持ち直している」として、基調判断を2カ月連続で上方修正した。個別項目でも生産や雇用、輸出など6項目を上方修正。実体経済が底堅さを増してきた点を評価した。
基調判断の上方修正の決め手となったのは、個人消費や生産、輸出などの持ち直しに加え、収益・雇用環境が改善していること。甘利明経済再生相は会議終了後の記者会見で「実体経済の足取りがしっかりしてきている」と評価した。
<生産、雇用など6項目を上方修正>
生産は、前月までの「緩やかに」を削除して「持ち直している」に変更。月次の鉱工業生産が季調済み前期比で5カ月連続してプラスとなり、自動車などの輸送機械、一般機械ともに輸出向けを中心に底堅さを増してきたと分析している。
雇用では雇用者数の増加、所定外労働時間などの指標が製造業を中心に持ち直してきた点を評価。現金給与総額なども底堅いとして「厳しさが残るものの、改善している」とした。企業収益も「製造業を中心に改善している」に上方修正した。
<先行きリスクは海外経済、中国を下方修正>
今後の見通しも「輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現するなかで、企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながり、景気回復へ向かうことが期待される」に変更し、環境やマインドの改善に期待を示した前月から、足元の景気回復をより明確に表現。海外景気の下振れが今後の景気下押しリスクとして警鐘を鳴らした。
海外経済では、中国の判断を2カ月連続で下方修正。輸出の鈍化や横ばいが続く内需などに警戒が必要だとしている。
<「多少の外的要因受けても堅調」まで確認できず>
甘利再生相は、政府が景気判断を上方修正する一方で、株安や円高に歯止めがかからないことについて「短期的な変化はいろいろな要素がある。海外要因で国内経済指標がかなり振り回されているという感じがする」と指摘した。
ただ、同時に「注視はしていくが、一喜一憂する必要はない。大事なことは実体経済を確実によくしていくこと。実体経済がよくなれば、株価は自然とついてくるという自信を持ってやっていくことが必要だ」と述べ、「実体経済の指標はほぼすべてで上向いてきている」と付け加えた。
再生相は、設備投資の加速に重ねて意欲も示した。国内景気は「多少の外的要因を受けても、堅調に推移していくというところまで、まだ確認できてない」として、国内総生産(GDP)で個人消費に次ぐ影響力を持つ設備投資の必要性を強調。「下げ止まりつつあるが、まだ(下げ)止まっているわけではない。しっかり環境を作って、力強い回復を目指したい」と話した。

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