消費者物価の新基準案にコンビニコーヒーなど、家賃の品質調整が争点

消費者物価の新基準案にコンビニコーヒーなど、家賃の品質調整が争点
 7月17日、総務省は、5年ごとに見直している消費者物価指数(CPI)の2015年度基準案を公表した。8月までにパブリックコメントを募り、2016年8月から公表する同年7月分以降採用する。写真は、1万円札を数える女性、2013年2月撮影(2015年 ロイター/Shohei Miyano)
[東京 17日 ロイター] - 総務省は17日、5年ごとに見直している消費者物価指数(CPI)の2015年度基準案を公表した。8月までにパブリックコメントを募り、2016年8月から公表する同年7月分以降採用する。
過去2回の基準改定では、値下がりの激しい家電製品の影響で指数が事実上下方改定されたが、現時点では大幅な下方・上方改定の可能性は少ないとみられている。一方、CPIの上方修正につながる家賃の品質調整の是非が政府の統計委員会で議論されており、動向が注目される。
総務省では指数がその時々の経済情勢を適切に反映するように、家計の支出が増えた品目を加え、支出の減った品目を廃止している。調査対象に追加するのはデコポンやコンビニコーヒー、豆乳、補聴器など33品目。逆に廃止するのはお子様ランチや筆入れ、レモン、ワイングラスなど32品目。
また、航空運賃や携帯電話など料金体系の複雑なサービスについて、典型的な利用事例を反映するよう採用価格の算出方法を精緻化した。
今後は今年10─12月の家計調査で各品目の支出状況から品目が指数に占める比重を確定する予定。比重が高まるとみられるのがリフォームや電気代、逆に比重が下がるのはテレビなど。このため、電気代の上下で今までよりも指数が大きく振れる可能性がある。
このところ価格が反転傾向にあるテレビは、比重が小さくなることで指数を押し上げる効果が小さくなるが、デフレ期のように指数を押し下げる可能性も小さくなる。
現在、内閣府の統計委員会では、家賃についてもパソコンなどと同様に経年劣化を反映するよう品質調整を施すべきとの要望が出ている。実施されれば0.1ポイント程度の押し上げ効果があるとの試算もある。総務省側は現時点で慎重なため、今後の議論が注目されている。

竹本能文※

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab