アングル:中国食肉問題に揺れる米親会社、マクドナルドとの深い関係

アングル:中国食肉問題に揺れる米親会社、マクドナルドとの深い関係
 7月23日、米OSIグループ傘下の中国・上海福喜食品が使用期限切れの食肉を出荷していたとされる問題を受け、KFCなどを運営する米ヤム・ブランズはOSIとの取引関係を打ち切ったが、OSIと米マクドナルドの間にはより深い結び付きがある。写真はOSIの河北省の工場(2014年 ロイター/Paul Carsten)
[23日 ロイター] - 米食品卸売会社OSIグループ傘下の中国企業・上海福喜食品が使用期限切れの食肉を出荷していたとされる問題を受け、ケンタッキーフライドチキン(KFC)などを運営する米ヤム・ブランズはOSIとの取引関係を打ち切ったが、OSIと米マクドナルドの間にはより深い結び付きがある。
マクドナルドは23日、ヤム・ブランズとは異なり、OSIとの関係を維持するとの声明を発表した。
OSIのシェルドン・ラビン会長兼最高経営責任者(CEO)は、主にマクドナルドとの取引を礎に過去20年にわたって中国でのビジネスを拡大させてきた。
OSIとマクドナルドの協力関係は60年近く続いている。
ラビン氏は23日付の声明で、中国の顧客に謝罪した上で、今回の問題に対処する専門チームを設けたと強調。「上海福喜で起きたことは全く受け入れられない」とし、「われわれはこれら過失の責任を負うとともに、再発防止に努める」と表明した。
ラビン氏は元バンカーで当初はOSIのコンサルタントだったが、マクドナルドの要請で1970年代にOSIに常勤として加わった。業界誌によると、同氏は80年代に経営者になったが、その経緯は不明。
ナショナル・プロビジョナー誌に2012年に掲載された記事では、ラビン氏は中国への進出に積極的だったことがうかがえる。
同氏はまた、インデペンデント・プロセッサー誌との2013年のインタビューで、「80年代に経営の指揮を執った際、OSIを大企業にしなければ自分が経営者にとどまる理由はないと決心した」とコメント。同社がマクドナルドのシステムにとって世界最大のプロテイン製品サプライヤーになったと誇らしげに語った。
ラビン氏は2013年11月、シカゴのドレークホテルで食肉産業の殿堂入りを果たした。これに関するOSIのウェブサイトの説明によると、マクドナルドのジェフ・ストラットン米国社長は、ラビン氏のマクドナルドや社会奉仕への深い関与を称賛した。
<世界展開>
昨年61億ドルを売り上げたOSIは17カ国に50カ所以上の設備を保有している。
中国では、マクドナルドが最初のレストランをオープンした2年後の1992年に最初の工場を開設した。OSIのウェブサイトによると、同社は2008年の北京五輪で食品供給業者の1社だった。
マクドナルドは23日、OSI傘下の上海福喜食品は閉鎖されるとし、OSIの他の中国部門から食品を調達する方針を明らかにした。
マクドナルドのドン・トンプソンCEOは22日、上海福喜食品をめぐる問題について明らかにしなかった第三者の監査に「やや欺かれた」との認識を示した。
<低い知名度>
OSIは 米穀物メジャーのカーギルなど大手企業から食肉を仕入れ、ハンバーガーのパテやチキンナゲットにし、レストランに販売している。
ラビン氏は2004年、ナショナル・プロビジョナー誌に対し「(OSIは)だれも名前を聞いたことのない世界最大の企業のうちの1社だ」と述べ、同社の知名度の低さに誇りを持っていることをうかがわせた。
OSIは今週になって食品安全問題が発覚するまで、食品のリコールや規制違反などの問題がほとんどなく、あまり注目されていなかった。
食肉産業の殿堂を運営するミート・インダストリー・ホール・オブ・フェームのプレジデント、チャック・ジョリー氏は、OSIが中国で食品安全問題の渦中にあることを知って衝撃を受けたと語った。
OSIはほかにも中国に傘下企業を有しており、それらの企業は営業を続けているという。
ファストフード会社ジャック・イン・ザ・ボックスの品質安全担当上級副社長だったデーブ・セノ氏は、OSIの優先課題は上海の工場がマクドナルドに再び供給できるようにすることだと指摘した。
(Tom Polansek記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:本田ももこ)

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