ベトナム南部で反中デモ隊が暴徒化、米政府が対話呼びかけ

ベトナム南部で反中デモ隊が暴徒化、外国企業の工場に放火
 5月14日、中国による南シナ海での石油掘削活動に対する抗議デモがベトナム各地に広がる中、同国南部ビンズオン省の工業団地では、13日に暴徒化したデモ隊が外国企業の工場に放火する事態に発展した。写真は放火された中国の工場(2014年 ロイター)
[ハノイ/マニラ/香港/ワシントン 14日 ロイター] - 中国による南シナ海での石油掘削活動に対する抗議デモがベトナム各地に広がる中、同国南部ビンズオン省の工業団地では13日、暴徒化したデモ隊が外国企業の工場に放火する事態に発展した。米政府は事態を憂慮し、脅しでなく対話を通じて解決を図る必要があるの見解を示した。
ホワイトハウスのカーニー報道官は定例記者会見で、米国は問題の当事者ではないとしながらも、オバマ大統領は先のアジア諸国歴訪で、中国および南シナ海をめぐるさまざまな問題について平和的対話の必要性を繰り返し強調したと指摘。
米国務省は、ベトナムの状況を注視しているとし、全ての関係国に自制を求めるとともに、「平和的な抗議活動を行う個人の自由を支持する」と表明した。
ベトナム当局者によると、デモには当初約6000人が参加し、平和的に行われていたが、参加者が約2万人に膨れ上がったところで、一部が暴徒化。門などが破壊され、15カ所の工場が放火されたという。
ビンズオン省の警察当局者は今回のデモで、約200人が拘束されたと明らかにし、「省内の他の地域についても調べを進めているが、今のところけが人は出ていない」と述べた。
香港の商社、利豊(リー&フン)<0494.HK>は14日、ベトナムのサプライヤーの一部が予防的な措置として生産を停止したことを明らかにした。香港上場の大手シューズメーカー、裕元工業<0551.HK>も、反中デモの影響で、ベトナムでの生産を一時的に停止した、と発表している。
シンガポール外務省は14日、在シンガポールのベトナム大使を呼び、ベトナム・シンガポール工業団地(VSIP)で起きた暴動への懸念を表明。同省は声明で「ベトナム政府に対し、治安状況が悪化し、投資家の信頼感が損なわれる前に2カ所のVSIPにおける法と秩序を回復させるため早急に行動するよう要求する」と表明した。
在ベトナム台湾商工会議所は、台湾塑膠工業集団(フォルモサ・プラスチック・グループ)<1301.TW>などの台湾企業が大きな損失を被ったと述べた。
暴徒化したデモ参加者は台湾企業と中国本土の企業を混同していたとみられ、団地内で操業する台湾企業の中には、「われわれはベトナムを支持している」とのメッセージを掲げ、中国企業ではないことを訴える社も出ている。
*内容を追加して再送します。

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