シチリア伝統デザートが「宇宙」へ、地元科学者が島おこし

[ローマ 6日 ロイター] -伊シチリア島のアマチュア科学者たちが、同島の伝統的デザート「カンノーロ」を宇宙船に乗せ、成層圏まで飛ばすというミッションに成功。宇宙船に搭載されたカメラからは、地球を見下ろす成層圏をデザートが飛ぶという一風変わった映像が届けられた。
「シチリア宇宙プログラム」と名付けられたこの飛行計画は、総コストはわずか約350ユーロ。地元エンナ出身の参加メンバーは、同計画には科学的な意味だけでなく、象徴的な意義があると語っている。
チームの挑戦の様子を撮影したファビオ・レオーネさん(34)は「シチリアは常に、マフィアや失業など否定的な意味合いで語られる場所だった。自分たちのやり方でシチリアを元気づけたかった」とロイターの取材に答えた。
シチリア州はイタリア国内で最も失業率が高い場所の1つで、州財政が悪化した2012年にはイタリア政府から厳しい歳出削減策を科された。
チームが「カンノーロ・トランスポーター」と呼ぶ宇宙船には、カメラ2台とGPS追跡装置が装備されており、カンノーロの模型が成層圏に届いた様子をはっきりととらえた。
コンピューター技師のパオロ・カパッソさん(37)によると、宇宙船は高度2万9768メートルまで上がった。焼き菓子でクリームをはさんだカンノーロは打ち上げには耐えないため、実際には、クラフト用粘土で作った本物そっくりの模型を使ったという。

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