豪首相、炭素税の廃止計画を改めて表明

[シドニー 13日 ロイター] - オーストラリアのアボット首相は13日、公約通り二酸化炭素の排出に課税する炭素税を早急に廃止する姿勢を改めて示し、議会の再開後に新たな法律を制定する方針を明らかにした。
首相は9月の総選挙で炭素税の廃止を公約に掲げて当選した。
ただ緑の党と労働党が課税廃止に異を唱えており、首相は反対する議員らを説得するという困難な課題に直面している。
首相は議会で「総選挙は、炭素税をめぐる国民投票だった。国民は意思を表明した。次は議会が意思を実行する番だ」と述べた。
前政権は温室効果ガスに関して、企業に排出上限(キャップ)を課して事実上の削減義務とし過不足分を取引(トレード)する「キャップ・アンド・トレード」方式へ2014年半ばまでに移行するまで、主な排出元に対し炭素1トン当たり世界最高の23豪ドル(22.23米ドル)の課税を続ける予定だった。
アボット首相は課税の代わりに、ガス削減ファンドの創設を含め、温室効果ガスを削減した企業に対し市場主導によるインセンティブを与えることを計画している。
法案は首相が率いる自由党が大多数を占める下院を問題なく通過する見通しだが、緑の党や少数政党がパワーバランスの鍵を握っている上院では困難を伴う可能性がある。上院で否決された場合、首相は事態打開のため両院を解散すると宣言している。
オーストラリアは、主に石炭の火力発電所から排出されるガスにより、国民1人当たりの二酸化炭素排出量が世界最大となっている。

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