金融庁、機関投資家の行動原則の策定に向け有識者会議 企業統治の改善目指す

[東京 5日 ロイター] - 金融庁は5日、機関投資家が資金を適切に運用する受託者責任の一環として、企業との対話を通じてコーポレート・ガバナンス(企業統治)を向上させ持続的な成長を促すための行動原則の導入に向け、有識者検討会を設置すると公表した。6日に初回会合を開き、年内に取りまとめる。座長は神作裕之・東京大学大学院法学政治学研究科教授が務める。
企業の長期的な成功の責任は経営者だけにあるのではなく、経営者が責任を果たす上で投資家も重要な役割を担うとする英国の行動原則「スチュワードシップ・コード」を参考にする。日本版の行動原則導入は、政府の産業競争力会議で3月、民間議員が提案していた。企業統治の向上を通じて透明性が高まることで、投資マネーの流入など経済全体へのプラスの効果も期待できるとみられる。
今後とりまとめる日本版の行動原則に賛同する機関投資家を適用の対象とし「法律やガイドラインによる義務づけとは異なる」(金融庁幹部)見込み。投資顧問、投資信託、信託銀行、生命保険のほか、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など公的年金による行動原則の利用を想定する。
金融庁は、行動原則を通じて「受託者責任について、より高い意識を持ってほしい」(金融庁幹部)と考えている。
英国は2010年に行動原則を導入し、2年ごとに見直しを行っている。具体的には機関投資家について、1)受託者責任をどのように果たすかの方針公表、2)受託に関する利益相反の管理方針の策定・公表、3)投資先企業のモニタリング、4)議決権行使とその結果の公表、5)受託者としての行動や議決権行使行動について委託者への定期報告──など7つの原則を掲げている。

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