ブログ:ドル/円と水星、そして参院選

ブログ:ドル/円と水星、そして参院選
写真は、2月にロイターが入手した水星の画像。NASAの水星探査機メッセンジャーミッションで作成されたもの。NASA提供(2013年 ロイター)
和田 崇彦
梅雨の季節である。台風の接近も相次いで、外を歩いていても足元に注意しなければならない日が多くなった。5月下旬に日経平均株価の急落を見てからというもの、ドル/円もすがすがしく上値トライに向かう機運は高まらず、日経平均とともに「足元」に注意が欠かせない日々が続いている。
アナリストの多くは、ドル/円が上昇基調を外れたわけではないとみている。日本の貿易赤字が長期化するとの予想、日米の金融政策の方向感の違い、この2つがドル/円の上昇基調をサポートすると指摘されている。
しかし、目をはるか「天空」に転ずれば、しばらくは波乱展開を覚悟する必要がありそうだ。
26日から、水星が「逆行期」に入る。逆行というのは、水星が本当に普段と逆の方向に回り出すのではなく、逆戻りしているように見える期間である。水星の逆行期には、相場が非常に荒れやすいとされている。
今年は2月23日から3月18日にかけて水星の逆行期だったが、2度円高に振れる場面があった。イタリア総選挙の結果に関する不透明感が台頭した2月25日、ドル/円は94円ちょうど付近から90円後半まで急落した。2回目は3月18日で、キプロス救済計画に銀行預金への課税が盛り込まれて市場が混乱に陥った。
テクニカル分析に精通するアナリストは、ドル/円を週足チャートで見ると45週程度のサイクル性があると指摘する。ドル/円は昨年9月13日に77.13円の安値をつけたが、ここを起点にすれば今週はまだ41週目で、45週目のボトムまでさらに下げ余地があるということになる。ちなみに、昨年9月13日から45週遡ればドル/円が戦後最安値を付けた2011年11月4日までの週に当たる。
しかし、水星の逆行期は7月21日、つまり参院選の投開票日に終了する。また、参院選直前に当たる7月15日からの週は、ドル/円の45週サイクルの45週目に当たる。参院選を通過すれば、2つの波乱要因は解消に向かうことになる。
昨年末以降、アベノミクス期待で株高・円安が急ピッチに進んだ際、米国経済の状況は良好で、欧州不安は大きく後退していた。このために、安倍晋三首相は運まで味方につけたと指摘されることがあった。ドル/円の45週サイクルや水星の逆行期が示唆する通り、参院選を経てドル/円が再び上昇軌道を描くなら、安倍首相は星回りをも味方につけたとも言えそうである。
ただ1つ、老婆心ながら付け加えなくてはならない。占星術では、水星は「流動性」を示すとされる。マーケットや交通機関の混乱のみならず、有権者との意思疎通、市場との対話──。投資家だけでなく、参院選候補者や各党のリーダーにとっても、いつにも増して発言に注意する必要があるのかもしれない。
(東京 21日 ロイター)

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