監査法人の指針検討会議、開放的な文化の必要性が論点に=金融庁

監査法人の指針検討会議、開放的な文化の必要性が論点に=金融庁
 9月12日、金融庁は、監査法人のガバナンス・コードを策定するための有識者会議(座長=関哲夫・みずほフィナンシャルグループ取締役)を開き、具体的な指針作りに着手した。写真は都内で2014年8月撮影(2016年 ロイター/ Toru Hanai )
[東京 12日 ロイター] - 金融庁は12日、監査法人のガバナンス・コードを策定するための有識者会議(座長=関哲夫・みずほフィナンシャルグループ<8411.T>取締役)を開き、具体的な指針作りに着手した。会議では、監査法人における開放的な土壌作りの必要性が1つの論点になった。
金融庁は検討会議に、コードの目的、実効的な執行機関の確立、業務運営、説明責任の4つの柱からなる論点の一覧を提示。このうち、コードの目的として「適正な会計監査の確保」「適正な職業的懐疑心の発揮」といった基本事項のほかに、「開放的な文化の保持」を挙げた。
「開放的な文化の保持」は、監査法人の統治指針を先行導入した英国やオランダで採用されているもので、監査のプロセスで浮上した問題点を共有し、議論するために、監査法人は外部だけでなく内部でも十分にコミュニケーションを取るべきだとする原則だ。
検討会議のメンバーの1人、東京大学の斎藤静樹・名誉教授は、監査法人の内部で開放的な文化を醸成することの意義を強調した。斎藤氏は、大手監査法人の現状を「たこつぼ」と表現。「大病院は、症例の研究・診断で多くの人の知恵を集めて行う体制が確立しているが、監査法人ではうまくいっていない」と述べた。そうした状況では「なかなか監査のクオリティを上げるのは難しいし、信頼性を確保するのも難しい」と指摘した。
日本公認会計士協会の関根愛子会長は、監査法人内部でのコミュニケーションについて、公認会計士法で規定されている守秘義務により、「『心のブレーキ』というものがもしかしたらあるのではないか」と述べた。関根氏は、監査法人内の相談窓口の活用が必要だと指摘した。
検討会議のメンバーから、「開放的な文化の保持」をコードに盛り込むことへの異論は出なかった。次回会合で、監査法人のマネジメントのあり方など他の論点について議論を継続する。
有識者会議は、東芝<6502.T>の不正会計で揺らいだ会計監査への信頼を取り戻すために監査法人の統治指針の策定を目指す。今回が2回目の会合。

和田崇彦

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