トルコのクーデター未遂、軍・司法関係者6000人拘束 死者290人超に

[イスタンブール/アンカラ/ワシントン 17日 ロイター] - トルコ当局は、軍の一部勢力による16日のクーデター未遂を受けて反乱勢力への制圧を拡大、17日夜の時点で、軍・司法関係者ら約6000人を拘束した。
外務省によると、クーデターに関連した死者は、反乱勢力の100人超を含め、計290人以上、負傷者は1400人に上っている。
エルドアン大統領は、クーデターを企てたのは自身と対立する在米のイスラム教指導者ギュレン師の支持者だと主張しており、米政府にギュレン師の送還を求めた。一方、ギュレン師は声明でクーデターを非難し、自身の関与を否定している。
トルコ政府は、反乱に関与した疑いで兵士から上級幹部まで3000人近い軍関係者を拘束。検察当局者や判事ら司法関係者の拘束も同等数に達した。
政府当局者によると、拘束された人物の中には、米軍がシリアやイラクの過激派組織「イスラム国」(IS)拠点への空爆に利用しているインジルリク空軍基地の司令官が含まれている。また、CNNトルコの報道によると、エルドアン大統領の軍事補佐官も拘束された。
さらに、国営アナトリア通信によると、シリア、イラク、イランの国境を担当する陸軍第2軍司令部のトップも拘束された。
オバマ米大統領は、クーデターを支持した勢力と政権側の双方に対し、一段の情勢不安定化を避けるため法の支配を尊重するよう求めた。
ケリー米国務長官も、クーデターに関する調査を行う際に法の支配が尊重されるべきだとトルコのチャブシオール外相に伝えた。また米国務省は、ケリー長官が「クーデターの試みに米国が関与したとの示唆や主張は完全な誤りで、両国関係に悪影響を与える」と述べたと発表した。
またケリー長官は、米国は反乱に関与した人物の特定に協力するとした上で、トルコ政府はギュレン師が関与したとの証拠を示すべきだと述べた。
トルコ当局が反乱勢力の排除を進めるとの見方が高まる中、欧州でも、トルコに対し法の支配を尊重するよう求める声が広がった。
エロー仏外相は「(クーデター未遂は)エルドアン氏に自由裁量権を与えるものではない。法の支配が機能しなければならない」と訴えた。
欧州委員会のエッティンガー委員(デジタル経済・社会担当)も、エルドアン氏がクーデター未遂を利用し、民主的権利を一段と制限すれば、トルコは欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)が示す本質的価値から遠ざかると警告した。
独紙ウェルト日曜版に対し、「(エルドアン氏は)国内での立場を強化するだろうが、国際的に孤立することになる」と語った。
こうした中、トルコのシムシェク副首相は「われわれのマクロ経済のファンダメンタルズは強固だ。必要なあらゆる予防措置を取る」とツイッターで表明。18日の金融市場の取引開始前に投資家を安心させようとした。
トルコ中央銀行も銀行に対し、無制限で流動性を供給するとしている。
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