VW米法人社長、公聴会で排ガス不正の「会社ぐるみ」否定

[ベルリン/ワシントン 8日 ロイター] - 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の米国法人のマイケル・ホーン社長兼最高経営責任者(CEO)は8日、排ガス試験の不正問題をめぐり米下院で行われた公聴会で、不正は「会社ぐるみ」ではなく、少人数の技術者により行われたものとの認識を示した。
ホーンCEOは下院エネルギー・商業委員会公聴会で、不正について「VWとしての決定ではなく、一部の個人が行ったことだったと理解している」と述べた。
VWが米国の排ガス規制に違反している可能性があると認識した時期については、ウェストバージニア大学が実施した試験でVWの一部車種の排ガス量が米国の規制をはるかに上回っていることが示されたことに言及し、2014年春だったと述べた。
ただホーン氏は、問題となっているディフィート・デバイス(無効化装置)と呼ばれるソフトウエアが排ガスの量を操作するために利用されていることを知ったのは「(今年の)9月3日ごろ」だったと証言。「このソフトウエアは数人のエンジニアが、何らかの理由で導入した」と述べた。
その上でVWがディフィート・デバイスの方が特別な排ガス浄化システムを使用するより安上がりだからという理由で不正を働いたのかどうか聞かれると、「一部の人間が何か問題を切り抜けようとして間違った決定を下した。それは解明される必要がある」とだけ話した。
またディフィート・デバイスは、欧州と米国の排ガス規制の違いに応じて異なる種類が使われたと明らかにした。
VWはこれまでの内部調査を受け、技術者のトップ3人を含む10人の幹部を停職処分としている。
10月8日、独VW米国法人のホーンCEOは、排ガス試験の不正問題をめぐり米下院で行われた公聴会で証言した。写真は9月21日、ニューヨークのディーラーで撮影(2015年 ロイター/Shannon Stapleton)
一方、共和党のクリス・コリンズ議員(ニューヨーク州)は、ディフィート・デバイスの搭載は会社としての決定でないとするホーン氏の主張を真っ向から否定。「何か新しい知的財産を生み出そうとしている際に組織全体が機能していないという説は一瞬たりとも信じられないし、そうでなければ最高レベルの幹部による大規模が隠ぺいが今も続けられているのだ」と批判した。
共和党のフレッド・アップトン議員(ミシガン州)は、2014年にVWがウェストバージニア大などの試験結果を承知していた点に触れて「18カ月も前に知っていながら、座視するのではなく対策を講じて真実を明らかにするために一体何かやってきたのか」と詰め寄り、結局ごまかしは成功しないと指摘した。
ホーン氏はディーゼル車の修理には何年もかかり、規制当局の承認が必要になるとも説明した。ごく少数のディーゼル車だけは、ソフトウエアの修正のみで済むとみられている。
米環境保護局(EPA)のクリストファー・グランドラー交通・大気汚染管理部長は、VWが来週初めにも修理の具体的ないくつかの選択肢を提供するとの見通しを示した。
ホーン氏は、VWが性能を維持しながら排ガス規制を達成することはできると表明した。
しかし民主党のフランク・パローン議員(ニュージャージー州)は、ホーン氏の証言を聞いても「問題が解決されるのだという大いなる確信」は得られなかった、と切り捨てた。
*見出しを修正しました。

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