新規国債減額へ、補正予算で4000億円規模 歳出は3.3兆円で調整

新規国債減額へ、補正予算で4000億円規模 歳出3.3兆円前後で調整
12月4日、政府は、1億総活躍社会の実現やTPPに備えた15年度補正予算案で、新規国債の発行を4、5000億円程度減額する方針だ。写真は安倍首相。11月撮影(2015年 ロイター/TORU HANAI)
[東京 4日 ロイター] - 政府は、1億総活躍社会の実現や環太平洋連携協定(TPP)に備えた2015年度補正予算案で、新規国債の発行を4、5000億円程度減額する方針だ。経済成長と財政再建の双方で、安倍晋三内閣が掲げる目標達成への道筋を鮮明にする。15年度補正予算での歳出総額は3兆3000億円程度とする方向で、与党との調整に入った。
年度途中で国債発行を減額するのは2年連続となる。今年1月に編成した15年度当初予算で36兆8630億円の発行を予定していたが、アベノミクス効果で企業業績が回復し、国の税収が想定を上回る伸びとなった現状に配慮する。
首相は、10年度にマイナス6.6%だった国と地方の基礎的財政収支の赤字対国内総生産(GDP)比を、15年度に3.3%に半減させる国際公約を掲げている。新たな「3本の矢」の柱となるGDP600兆円に向けた経済成長と同時に、今回の国債減額で、財政目標の達成をより確実にする。
補正予算は、1億総活躍社会の実現に向けた低年金受給者への給付や、TPPで影響を受けかねない畜産農家への赤字補填を柱に、緊急対応策としてまとめるものだ。与党との最終的な調整を踏まえ、今月18日に閣議決定する。
財源には15年度税収の上振れ分や14年度までの予算の使い残しを充てる。国の税収は、今年1月時点で想定した54兆5250億円を1.9兆円上回り、56.4兆円程度と1991年度以来24年ぶりの高水準となる。復興財源を含めた剰余金2.2兆円と合わせて歳入の柱とする。
一方、将来の金利上昇に備えた日銀の引当金制度が15年度決算から導入されることを踏まえ、税外収入はマイナスとなる見通しだ。
15年度当初は日銀の国庫納付8205億円を織り込み、税外収入として4兆9540億円を計上した。制度改正に伴う日銀の国庫納付減額を見込み、補正の段階で、税外収入を3、4000億円程度の減額とする。税外収入の減額補正は10年度以来5年ぶりとなる。
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