日銀の2012年度決算、最終損益は5760億円の黒字

日銀の2012年度決算、最終損益は5760億円の黒字
5月29日、日銀は2012年度決算を発表した。総資産残高は前年比18.2%増の164兆8127億円となった。写真は2011年10月、都内の日銀で撮影(2013年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 29日 ロイター] - 日銀が29日に発表した2012年度決算によると、円安進行で外国為替関係損益が大幅な益超となったことを主因に、最終利益に当たる当期剰余金が前年度に比べて469億円増の5760億円となった。このうち5472億円を国庫に納付した。
総資産残高は前年比18.2%増の164兆8127億円と過去最高に膨らみ、特に国債買い入れを中心とした金融緩和政策の推進で国債保有残高は同43.7%増の125兆3556億円となった。自己資本比率は7.45%と、前年(7.22%)に比べて上昇した。
増益は2年連続で、最終利益の5760億円は2007年度の6407億円以来の高水準。運用資産利回りの低下を背景に経常収入は前年度に比べて227億円減の7410億円となったが、円安の進行に伴って外国為替関係益を6036億円確保し、経常利益は同5956億円増の1兆1316億円となった。外為関係損益は前年度の606億円の損失から大幅な益超に転換している。剰余金のうち5%にあたる288億円を法定準備金の積み立てるなどした結果、残りの5427億円を国庫に納付した。
国債買い入れを中心とした積極的な金融緩和の推進を背景に、総資産残高が164兆8127億円、国債保有額が125兆3556億円とそれぞれ過去最高となった。一方、負債では当座預金残高が同68.8%増の58兆1289億円に拡大した。日銀券の発行残高は、83兆3782億円となった。自己資本比率は法定準備金や外国為替等取引損失引当金の積み立てにより、7.45%に上昇。日銀は通貨価値の安定を維持するには8%超の自己資本比率が望ましいとしているが、現段階で日銀の財務の健全性に問題が生じているわけではない、としている。
日銀では、金融緩和にあたり、指数連動型上場投資信託受益権(ETF)や不動産投資信託(J─REIT)などのリスク性資産も買い入れているが、株価上昇でETFの5501億円の評価益が発生。REITも718億円の評価益。一方、社債は151億円の評価損となった。
(伊藤純夫;編集 宮崎亜巳)
*情報を追加して再送します。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab