東芝の不正会計問題、日本の低い監査報酬が浮き彫り 質に懸念

東芝の不正会計問題、日本の低い監査報酬が浮き彫り 質に懸念
 7月30日、東芝の不正会計問題を受けて、日本では上場企業が監査法人に支払う監査報酬が安いことから十分な時間をかけて調査が行われていないのではないかとの疑問が浮上している。都内で6月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)
[香港 30日 ロイター] - 東芝<6502.T>の不正会計問題を受けて、日本では上場企業が監査法人に支払う監査報酬が安いことから十分な時間をかけて調査が行われていないのではないかとの疑問が浮上している。
一部の専門家によれば、監査報酬が歴史的に低水準に抑えられてきたことや競争が厳しいことに加えて、監査の機能を軽視する企業文化が低報酬の原因となっている。
GMTリサーチのパートナー、ロバート・メッド氏は「日本の上場企業が支払う監査報酬は国際的な平均と比べて著しく低い」と指摘する。
GMTリサーチは売上高が5億ドル以上の上場企業約2330社を対象に売上高と監査報酬を調査した。報酬は通常費やした時間に対して支払われるため、報酬の規模が大きいほど監査にかけた時間が長いと推測される。
調査によると、日本企業が支払った監査報酬は平均で売上高の3.2ベーシスポイント(bp)で英国の5.3bp、米国の11.8bpを下回り、先進国中で最低だった。世界全体の平均は5.6bpとなっている。
東芝の財務諸表によると、同社は2014年3月期に売上高の1.5bpに相当する9億8200万円(800万ドル)を新日本監査法人に支払った。ロイターの分析では過去6年間の平均は1.8bpだった。
新日本監査法人はコメントを控えた。東芝は声明で監査費用は適正とし、一時的な要因により年ごとにばらつきがあると説明した。
日本ではこれまで規制によって監査費用の上限が決められていた。上限は10年以上前に撤廃されたが、依然として先進国としては低い水準にとどまっており、専門家は監査の質が確保されているか疑問を投げかける。
会計事務所デザン・シャイラ・アソシエーツのクリス・デボンシャーエリス会長は「このように監査報酬をめぐる競争が非常に厳しい状況では、きめ細かなサービスを維持していくことは常に難しい課題だ」と語った。

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