全日空、システム不具合は中継機の故障が原因 役員報酬も減額    

全日空社長は1カ月20%、副社長らは10%の報酬減額処分=ANA
 3月30日、ANAホールディングス(ANAHD)傘下の全日本空輸は30日、22日に発生したシステム不具合を踏まえ、30日付で役員の報酬減額処分を実施したと発表した。全日空の篠辺修社長を1カ月20%、内薗幸一副社長と幸重孝典執行役員を10%の減額とした。写真は都内で2013年1月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 30日 ロイター] - システム不具合で欠航や遅延が起きた問題で、ANAホールディングス(ANAHD)<9202.T>傘下の全日本空輸は30日会見し、不具合の原因が複数のサーバーをつなぐネットワーク中継機と呼ばれる機器の故障だったと発表した。
全国にある空港の国内線で7万人以上の旅客に影響が及んだ事態を重く受け止め、役員報酬の減額処分も決めた。
来月の役員報酬について、全日空の篠辺修社長が20%、内薗幸一副社長と幸重孝典執行役員はそれぞれ10%減額する。ANAHDの伊東信一郎会長と片野坂真哉社長も、来月の役員報酬を20%自主的に返上する。
会見した殿元清司専務は陳謝し、「再発防止策を徹底し、信頼を回復する」と述べた。キャンセルだけで3億6000万円の減収となり、乗客が他社便や新幹線などに振り替えた場合の費用や空港までの交通費も全日空が負担するという。
原因に関しては、4台のデータベースサーバーをつなぐネットワーク中継機が故障。本来は故障するとシグナルを出し、自動的に予備機に切り替わる設計のはずが、今回はシグナルが出なかったため予備機にも切り替わらず、トラブルが長引いたという。このため、全日空は中継機の故障を検知する機能を改善し、プロジェクトチームも設置して対策を強化する。
中継機を製造した米シスコシステムズ、システムを開発した日本ユニシス<8056.T>も不具合を解析し、改善策を検討する。システムは2010年に販売され、全日空は13年に更新したばかり。全日空によると、「メーカー側からの報告ではこうしたトラブルは初めて」という。
22日未明に発生したシステム不具合では、全国の空港で搭乗手続きができなくなったほか、インターネットから予約などができない状態が続いた。23日早朝には完全復旧したが、国内線で148便が欠航、391便が遅延し、計約7万2100人の旅客が影響を受けた。全日空では07年と08年にもシステム障害が起きているが、影響人数は過去2回よりも多い。
全日空と共同運航(コードシェア)を実施しており、同じシステムを採用しているソラシドエア、スターフライヤー、AIRDO(エア・ドゥ)などの航空会社5社にも影響が及んで38便が欠航し、142便に遅れが生じた。
*内容を追加しました。

白木真紀 編集:内田慎一

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