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    Deagostiniから発売されたBeatlesのLPレコードコレクション 創刊号『Abbey road』

    4月に、当時まだテスト販売だったDeagostini版の『SGT』LPについて記してから約4ヶ月経過。その間にシリーズ一般販売が確定し、ようやく今日創刊号の『Abbey road』が届いた。

    ABRODEAG (19)
    *レコードを取り出したところ

    予想通り、これも2012年版に施された音補正は不採用、新たにカッティングし直した原盤からのプレスで、最初から最後までストレスなく聴くことができた。
    これを当時発売していたなら!とApple/EMIに腹立たしさを覚える。



    僕の受け取ったLPはごくごく軽微なポップノイズはあったかもしれないが、幸いにも盤質はほぼ問題なしだった。

    比較のために2012年盤を用意しB面の中盤以降に針を降ろすと、もう微妙に音のつながりがおかしい気がしていた。最初のメドレーの途中だ。「あ、これなら違いがすぐにわかりそうだ」。
    続けて今回のデアゴ盤を再生すると、予想通りすぐに違いがわかった。「今回は問題ない、大丈夫だ!」。

    ABRODEAG (15)
    *上:2012盤、下:今回の盤(ジャケットは残念ながらペラペラ)

    久しぶりに09 remasterの『Abbey road』を通しで聴いたわけだが、音に歪っぽさが無く、美しいサウンドだ。そのため、ある程度の音量を出さないことには真価が発揮できない。また、使用オーディオも全帯域がバランスよく再生されることが必要だ(そのためにも音量が必要なわけで……)。いや、何よりも、このところ取り上げていた〝デジタルマスター使用のレコード〟の再生に向いた装置を使わないと、たぶん駄目駄目な音になるだろうなと思える。

    ここでちょっと試しに、使用マスターが09でなく、87年のデジタルリマスター音源(つまり旧CD)を基にした英国盤LPと音を比較してみた。
    やっぱり、こっちが聴きなれた『Abbey road』の音だ。

    ABRODEAG (3)
    *旧CDマスター使用の英国DMM盤

    87年のデジタル化は、アナログマスターを単純にデジタルテープに録音しなおしただけのような代物。それに対して09 remasterは、全体の音をデジタル処理でかなりまとめなおして、音が整理された印象があった。実際かなり微妙な修正を施しているようだ。

    今回両者を比較してはっきりわかるのは、09 remasterはデジタル処理のノイズリダクションによるものと推測するが、間接音が除かれて音が直接的になり、歌声など従来マスターよりもくっきりして音が若返ったように(クリアに)聞こえる。僕は音が1世代若返ったように思っていた。

    しかし、事『Abbey road』に関しては、その反面、各楽器から放射された音の波が希薄になり、音が旧盤のようには(そこから)飛び出してこないことに気づいた。同じ原因によると推測するが、空気感も旧CDマスター盤や従来アナログ盤より確実に弱い。

    「Golden Slumbers」からのメドレーで言うと、旧盤では歌とストリングスとピアノと左チャンネルのドラム、さらには歌の背後の金管、それぞれが音を放射し、時には混沌とした空気感になる(場合によっては歌が聞き取りづらい)のだが、09版では音が整理されてしまっていて、理路整然ときれいに並んでいる印象だった。歌声は、はっきりくっきりと聴けるが、ピアノやストリングスは響きが足りないような……。

    それってもしかして?と、今度はマスターが同じそれら2種類のCDを比較すると、やはり09版CDは今回のLPと同じ響きになっているではないか!つまり、09 remasterは従来マスターと違って、音がこちらに飛び出してくる感じが希薄なのだ。それって、デアゴ盤だからではなく09版の元マスターがそういう音の作りだったわけだ。この点は押えておく必要ありかと思えた。

    ABRODEAG (24)
    *旧CDと09remasterd CD

    いやいや、それよりも今更だけれど、旧CDの音の良いことと言ったら!(苦笑)。
    僕は09 remasterのハイレゾは持っていないが、今日Oppoで聴いた旧CDの『Abbey road』は、過去に自分のオーディオでは聴いたこともない高音質だったのでびっくりしてしまった。オリジナルアナログマスターを最高音質で聴くには、これかMFSL盤LPかしかないのでは?とさえ思えた(それらは、手持ちの英国オリジナル盤よりも音が若く聞こえる)。
    ユニバーサルさん、是非日本だけで〝旧マスターを使ったプラチナSHM-CD〟を発売してもらえないだろうか?(真剣に!)


    おっと、最後に脱線してしまったが(苦笑)、09 remaster『Abbey road』の音傾向がわかってからは、今回の『Abbey road』は、2012年盤LPを置き換える高音質盤として聴くのが妥当と、はっきりとわかった。マスタリング時に唯一リミッティングを施していない09 remaster 音源だし。

    但し、アナログマスターを使用したLPとはマスターが別物なので、それは比較しても意味が無いだろう。


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    テーマ : 洋楽ロック
    ジャンル : 音楽

    tag : BeatlesビートルズアルバムレコードLPAbbeyroad

    コメント

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    No title

    JDさんおはようございます。

    やっぱりデアゴ盤よかったですよね。ここまで違ったのかと自分も音比較してびっくりしました。本当にどういう判断でそういう処理をしたのでしょうかね。

    それにしても旧CD再評価にはまたまた驚きました。私も早速倉庫から取り出して聴いてみたいと思います。The Beatlesの旧CDは高値で取引される日がひょっとしたら来るのかもしれないですね。

    Re: No title

    Columbiaさん、こんにちは。

    > やっぱりデアゴ盤よかったですよね。ここまで違ったのかと自分も音比較してびっくりしました。本当にどういう判断でそういう処理をしたのでしょうかね。

    スタジオ作業では、かなりの大音量で鳴らしているから、それが災いしたのかな?とか推測(妄想)しています。
    多少マスキングされた音も大音量では悪くないように聞こえたりしてしまうので。

    > それにしても旧CD再評価にはまたまた驚きました。私も早速倉庫から取り出して聴いてみたいと思います。The Beatlesの旧CDは高値で取引される日がひょっとしたら来るのかもしれないですね。

    いやぁ、高値取引はないでしょう(笑)。
    僕のオーディオでも空間表現がわかる(聴ける)ようになってから、初めてAbbey roadの新旧CDを聴きました。
    そうすると、アナログで聴く英国オリジナル盤とほぼ同じ音は旧CDで、09年CDはやっぱり違ってましたね。しかも、空気感の再現が旧CDはとても良かったので驚いてしまいました。
    特にレコードB面の最後のメドレーのような楽器類の多い編成の曲がわかりやすかったです。





    No title

    やっぱりカートリッジの相性の問題なんですかね。DL-103Rを愛用して20年以上にになりますが、その冴えない音に凹みました。デアゴ盤ABBEY ROADは帯域バランスも整っているし、決して悪い音じゃないのはわかるんですが、DL-103Rで聴くと音が痩せてしまってダメダメです。

    ちなみに先ごろリリースされたSGT.PEPPER'SリミックスのLPも買いましたけど、こちらは同じDL-103Rでもソリッドで音の勢いもしっかり再現されて満足しています。だからよけい解せないんですが、、、

    Re: No title

    路傍さん、こんばんは。

    >やっぱりカートリッジの相性の問題なんですかね。

    60年代のアナログマスターをデジタル化したデジタルマスターで、なおかつデジタルのノイズリダクションが巧妙に効いているステレオLPが対象なので、それに対しては相性の悪いカートリッジはきっとあるだろうと思っています。
    僕のところでは、DL-103Rがそうでした。フェーズテックのP-3Gでは問題ありません。

    でも、オーディオは全ての使用機器と部屋と音量のバランスの上に成り立っているので、僕の結果が路傍さんの結果と同じになるかどうかはわかりません。DL-103Rでも良い音で再生している人もいるかもしれませんし。

    機器の組み合わせや部屋の要素を踏まえると答えはいくつもある(あるいは、それぞれにある)気がするので、この話、本当はとても難しい話のように思えます。
    そのあたり、デジタル以上にアナログ再生の難しさの一つように思えます。

    ちなみに、DL-103Rでも旧CDマスターの使用の『Abbey road』LPは、2012年リマスターやデアゴ『Abbey road』LPと違って普通に聴けます。やや陽性の音なので、英国レイトプレス盤に雰囲気は似ているように思います。

    あと、『SGT』50周年盤は、マルチトラックテープをデジタルにコピーしなおしたADDですよね。なので、2009年のステレオリマスターと同じ系列のデジタルマスターだとは僕は思っていません。
    (昔のでなく)近年のデジタル録音・デジタルマスタリングのロックのLPに近いような気がします。

    No title

    JDさん、拙の疑問を丁寧に解説していただきましてありがとうございます。

    ところで旧CDは拙も手持ちのUK盤(87年にリリースされてすぐに買いました)を引っ張り出して聴きなおしました。なるほど全体のナチュラルな質感は現行CDよりも優れているように感じました。特にアンビエンスの余韻の伸びは、むしろ旧CDのほうが元のアナログに近いですね。これがノイズリダクションの有無による違いならちょっと考えさせられてしまいます。

    そういえば昔、2009リマスターがリリースされる以前のことですが、山下達郎がこんなことを言ってました。「ビートルズのCDは改めてリマスタリングしなくても、最初に出たもので十分いい音ですよ」

    Re: No title

    路傍さん、こんばんは。

    > 特にアンビエンスの余韻の伸びは、むしろ旧CDのほうが元のアナログに近いですね。これがノイズリダクションの有無による違いならちょっと考えさせられてしまいます。

    2009 remasterでのアンビエンスの減少は『Abbey road』特有なのか、他のタイトルも同様なのかはわかりませんが、僕もデアゴ盤と2012年のLP、新旧のCDとを聴きくらべてようやくわかったところでした。

    09年のリマスタリングによって音が変わったなと思えたアルバムがいくつかあって、その1枚が『Abbey road』だったのですが、当時の僕のオーディオ(と言うよりも部屋)の再生音では、具体的な違いを認識できずじまいでした。
    それに、09リマスターの新しい音に好印象を抱いていたので、それはそれで良いかと思っていました。

    それと、僕はノイズリダクションと書きましたが、デジタルマスタリングの現場では音のピントを調整するようなエフェクトなのかもしれません。マスタリングは奥が深いし、人それぞれのやりかたがあるので想像するしかないのですが。

    > そういえば昔、2009リマスターがリリースされる以前のことですが、山下達郎がこんなことを言ってました。「ビートルズのCDは改めてリマスタリングしなくても、最初に出たもので十分いい音ですよ」

    そういう言葉は、当時ピンと来なかったですね。
    僕の場合、ようやく再生環境が追いついたように思います。






    プロフィール

    JD

    Author:JD
    自分の感覚としては(昔の?)ラジオDJのネット版のようなもののつもり。今、世界で日本だけが7インチ「シングルSingle」盤のことを誤って「EP」と呼ぶような有様となり、言葉の不理解と誤用の蔓延に落胆している。「シングル」は片面1曲、両面で2曲収録。「EP」はシングルよりも曲数を多く収録する(標準は4曲)"Extended Play"の略。両者は別の仕様だ。どうかSingleとEPとを正しく使い分けて欲しい。

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