2024年衆議院選挙で、候補者と有権者とで交わされる握手(写真:西村尚己/アフロ)2024年衆議院選挙で、候補者と有権者とで交わされる握手(写真:西村尚己/アフロ)

(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

政治家は人気商売の極み

 2024年は選挙と混乱が続いている。

 時代が変わりつつあるということかもしれないが、良し悪しは別にしてもこれまでの選挙の「常識」もいよいよ通じなくなってきた。

 本連載でも何度か取り上げてきたが、それは不確実性が増し、先行きが見通せなくなったということであり、これからますますそうなるということでもある。

 最近は選挙といえばなにかとSNSや動画が注目されがちだが、選挙制度の想定していない使い方や戦略、既存政党不信など複数の要因が関係する。前回指摘したように、インターネットを使った選挙運動(「ネット選挙」)ができてから10年以上の歳月が経過したにもかかわらず、改正法の附則に記された検討事項も検討されないままである。

 また、いよいよマスメディアからネットへという変化が進み、SNSに限定してもタイムラインからアルゴリズムへ、収益化の一般化といったサービスのトレンドの影響を受ける昨今のメディア環境だが、今のところ対策だけではなく、対策の検討も公式には未着手のままである。

なぜ議論しない?野放しにされたままのネット選挙、2025年「選挙イヤー」を前にいますぐ改革を開始すべきだ 【西田亮介の週刊時評】| JBpress (ジェイビープレス)  

 来年も大型選挙が続く。参議院選挙、東京都議会議員選挙が控えているし、なんなら総選挙もいろいろなタイミングで考えられる。

 現代において、いったいどのようにして有権者が投票先を選んでいるのか前から気になっている。

 日頃から、「政治家とよく話す」という人は一体どれだけいるだろうか。想像の域を出ないが、恐らくそれほど多くはないのではないか。

 自分の話をすれば、仕事がらもあって、年間3桁程度の政治家に会っているものと思われる。番組や受け持っている連載で話すこともあれば、企画で同席することもあれば、政策関係の勉強会や意見交換などの機会もある。

 そのような職業生活を10年は続けてきたがつくづく思うのは、政治家というのはすごい職業である。人気商売のある種の極みである。