オムレツを作るには、卵をいくつか割る必要がある。しかし、最近のウォール街の惨劇からすると、われわれはヤンキースタジアム一杯のオムレツを作れるほどの卵を割ってしまったのかも知れない。これはおそらく史上初のばかげたオムレツであり、われわれがこれを飲み下すのは難しいだろう。
2008年にBear Stearns、Citigroup、Lehman Brothers、Merrill Lynch、AIGなどに起こったことは悲劇的であり、サブプライム問題がこれを引き起こしたことは周知の事実だ。われわれはみな、この問題が米国経済と国際市場に長期間にわたって影響を与え、何百万人ものアメリカ人の生活が、世界最大の金融機関の断末魔によって影響を受けるだろうことを知っている。またその次には、個人と同様に大企業の消費性向が長期間にわたって影響を受け、中でもテクノロジに対する支出に影響が出るだろうことは明らかだ。問題は、それがどのような形を取るかだ。
ITサービス部門は明らかに今後多角化する必要があり、特に巨大な金融企業を相手にすることに特化し、大規模でリスクの大きな契約を結んでいる企業はそうだ。ただし、私の同僚のLarry Dignan氏が最近述べていたとおり、それらのインフラ統合に関するスキルセットと経験を持つ企業には、依然として多くの活躍の余地がある。
インフラ統合はそれ自体が変化のきっかけになる。なぜなら、IT支出の減少とそれに伴う人員整理が起きるに従って、本来なら必ずしも日の目を見ないかも知れない破壊的技術が本格的に採用されていくだろうからだ。その好例は、仮想化技術、オープンソース、SAAS、クラウドコンピューティングだ。確かに、多くの企業はこれらの技術に着目して、試験的なプロジェクトを始めており、物事は動き始めているが、新しい経済の中では、これらの技術はより少ない資源で多くの結果を出すための参照アーキテクチャの不可欠な要素として認識され、ビジネスコンピューティングの新たなモデルを動かしていくだろう。
仮想化技術はサーバの増大の問題を解決し、仮想化環境のインフラストラクチャへの投資の増大を引き起こすと共に、大企業に対してはメインフレームや大規模な中型システム(例えばIBMのpSeries 570/595やHPのIntegrityシステム)の大量の整理統合を引き起こす。ソフトウェアライセンスの経費増大から、仮想化環境のインフラストラクチャとメインフレーム統合はサーバでのLinuxやその他のオープンソース技術の利用を喚起し、従来のWintelモデルは弱体化し崩壊し始める。
すべてのサーバインフラが統合され、データセンターの運用コストも削減され、大企業でアプリケーションがSOA・ウェブサービス化され、SAASとクラウドコンピューティングで中小企業が自前のインフラの管理から解放されれば(例えば、Salesforce.comなどのサービスの人気の増大など)、焦点は不可避的にデスクトップに向かい、シンクライアントやデスクトップ仮想化環境とLinuxなどによるソリューションが台頭するだろう。
今回のウォール街の惨劇は、私自身も含めて誰にとっても悲惨なことだが、これがかえってわれわれが思っていたよりも早くパラダイムシフトを引き起こすかもしれない。
この経済状況はより少ない資源でより多くの結果を生み出すことを求め、より過激な実現技術を使うことを促すだろうか?読者の意見を聞かせて欲しい。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ