東京エレクトロン デバイス(TED)は11月5日、測定した屋内環境データをインターネット経由で収集し、カビの発生環境を分析、管理、予報を使用者に通知する「カビ発生予報クラウドシステムMold Forecast System」(MFS)を開発し、11月10日より実証実験を開始すると発表した。
このシステムは、クライアントの屋内数カ所に設置した屋内環境センサからデータを収集し、通信ネットワークを経由してクラウド上にデータを蓄積する。蓄積したデータを基に、環境生物学研究所が考案した数式アルゴリズムを使って予測し、使用者へカビ発生予報として通知することでカビ発生前の換気を促し、屋内環境の改善向上を図るというもの。
MFS画面イメージ(TED提供)
カビによるアレルギーは、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、じんましんなどが知られている。アレルギーの原因となるカビを餌とするダニ類や微細な昆虫類の活動環境を知り、その増殖を抑える環境を設定できれば、カビ汚染によるアレルギーの人体への影響を最小限にとどめることが可能となる。
また、カビは環境中に適度な温度、湿度、酸素、栄養分があれば生育するが、多くの人がカビに気付くのは目に見える状態まで育ってからであり、防カビ剤を天井や壁に塗布し設備保護を図るといった対策も遅れがちだ。MFSにより、カビ発生の目安となるデータ検知が可能となれば、防カビに必要な修繕費用を最小限に抑制し、企業の建物維持費用の低減に寄与できると期待される。
TEDでは実証実験の後、食品工場、公共施設、病院、住宅、マンション、店舗、各種工場などをターゲットに2015年1月ごろからアプリケーションサービスを開始する予定。今後5年間で60億円のサービス販売を予定している。