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今週の明言

富士通が注力する農業のICT改革

松岡功

2014-01-31 08:40

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 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、富士通の阪井洋之 統合商品戦略本部長と、Splunk Services Japanの中村賢生 カントリーマネージャーの発言を紹介する。

「生産現場でのICT活用を起点に、流通・地域・消費者を結ぶバリューチェーンをつくっていきたい」」 (富士通 阪井洋之 統合商品戦略本部長)


富士通 統合商品戦略本部長 阪井洋之氏

 富士通が先ごろ、農業経営を支援するクラウドサービス「Akisai(秋彩)」の取り組み状況や導入事例について記者説明会を開いた。同社で統合商品戦略本部長とともにソーシャルクラウドサービス統括部長務める阪井氏の冒頭の発言は、その会見で、Akisaiのコンセプトについて語ったものである。

 富士通が2012年10月に提供開始したAkisaiは、米・野菜などの露地栽培、施設栽培、畜産に対し、生産・経営・販売といった農業経営全般を包括的に支援するクラウドサービスである。第1弾として、農業現場と食関連企業のマネジメントを支援する「農業生産管理SaaS」と、農業現場でのICT活用の促進や組織的マネジメントをサポートする「イノベーション支援サービス」を提供。これまでの実績としては、1000社を超える企業から問い合わせを受け、160社が利用しているという。

 今回の会見では、その中からいくつかの導入事例が紹介された。また、サービスラインナップの強化についても説明があった。それらの内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは富士通がAkisaiを始めた背景について説明しておきたい。

 同社によると、現在の農業生産現場は「できたものを売る」という考えのもと、全生産物の収益と生産費用のみを把握する経営が行われているケースが少なくないという。そうした状況から今後は、今まで把握できていなかった作物ごとの費用構造や収益率を可視化することで、「利益の出るものを作る」という方針のもと、現場での日々の作業実績や生育情報などに関するデータを活用して収益拡大につながるマネジメントを行っていく必要があるとしている。

 一方、食品加工・卸・小売・外食などの食関連企業では、競合他社との差別化、コストの改善、品質マネジメントの強化が求められているという。この分野では、各調達先で品質管理や生育方法などが個々に異なり、それぞれに生産調整する必要があるため、調達先が増えるほど調整するためのコストや連絡漏れによる生産物の供給過不足などが発生。いわゆる「4定」(定時・定量・定品質・定価格)を実現するためにも、調達先のマネメジメント機能を強化する必要があるとしている。

 同社はこれらの課題を解決すべく、農業現場でのICT利活用実証実験におけるこれまでの成果を踏まえ、農業経営全般を包括的に支援する業界初のクラウドサービスとして体系化した。それがAkisaiである。

 マネジメントとICTとは相性が良い。マネジメントに求められる「スピードの速さ」と「透明性」をICTが実現してくれるからだ。特に農業のような、これまでマネジメントの発想があまりなかった分野には、最新のICTであるクラウドを活用すれば、大きな導入効果を期待できるだろう。

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