SAPジャパンは6月27日、インメモリデータベースの新サービスパック「SAP HANA SP6」の提供を開始した。「スマート・データ・アクセス」と呼ばれる機能が追加された。
スマート・データ・アクセスは、HANA内でのデータ仮想化技術であり、異なる種類のデータが混在する、リレーショナルデータベース(RDB)と非RDBに対して動的にクエリをかけられるという。「SAP Sybase Adaptive Server Enterprise(ASE)」や「SAP Sybase IQ」に加えて、分散並列処理フレームワーク「Apache Hadoop」上にあるデータ、そのほかのサードパーティのデータウェアハウスなどにも対応する。
データ仮想化技術を活用することで、異なる種類が混在するデータソースへのクエリが簡素化されると説明。データの保存場所と用途に基づいて応答時間も最適化されるという。
スマート・データ・アクセスについてSAPジャパンは、企業が自社のネットワーク全体にわたって高速、安全にクエリをかけられ、同時に不要なデータ転送やデータの醸成を最小限に抑え、リアルタイムのビッグデータアプリケーション構築を支援できるとメリットを強調している。
地理空間情報機能も強化されている。地理空間データと業務データを組み合わせることで、ビジネスアプリケーションのリアルタイム性を高められるという。地理空間情報とテキスト分析、予測などの結果をSQL内で組み合わせることで、位置情報をベースにしたアプリケーションの開発を簡素化できるとしている。
これらの機能を活用すると、例えば、エネルギー分野でインフラを提供する企業は、HANAの空間情報処理機能を活用して、パイプラインのコンポーネントのうち、高いリスクが伴うものを特定して、対応するための作業を数日単位ではなく、リアルタイムで処理できるという。こうした対応で、石油やガスの輸送の中断、保守コスト、致命的な障害のリスクを削減できるようになるという。
HANAで提供される、Eclipseベースの開発ツール「SAP HANA Studio」では、データモデルとプロビジョニングワークベンチが一体化され、開発とデータ取得が簡素化されていると説明。「アプリケーション・ファンクション・モデラー」という機能を使えば、モデルに基づいたネイティブ機能や予測アルゴリズムへのアクセスを通じて、開発を高速化できるとしている。
HANA SP6ではプラットフォーム機能も強化されている。クラスタリングアルゴリズムが追加されるとともにソーシャルネットワーク分析のサポートなど予測解析ライブラリが拡張されている。
テキストマイニング機能では、簡体字の中国語を含む主要言語が追加された。複数の言語での“顧客の声”を分析するための、センチメントとコアエンティティ抽出が拡張されていると説明している。