Celonisは12月3日、大阪・梅田で年次イベント「Celonis Day Osaka 2024」を開催した。大阪での開催は2回目となる。そこで発表されたCelonisによるプロセスインテリジェンスの活用事例として、寺崎電気産業およびコベルコシステムによる講演の内容をレポートする。
寺崎電気産業では、プロセスマイニングによる内部統制の強化とDXの推進に取り組んでいる。セッションでは、「ゴールが見えていないからこそのプロセスマイニング! 内部統制+αのCelonis導入の価値とは」と題し、2024年4月にスタートしたCelonisの導入プロジェクトにおいて、10月から購買機能におけるプロセスの可視化を開始した事例を紹介した。
寺崎電気産業 情報システム部⾧の社頭俊之氏
情報システム部⾧の社頭俊之氏は、「試行錯誤と探求こそが、プロセスマイニングの面白さになる。イベントログから収集したデータを基に、ここに隠されたストーリーを考え、実証し、問題を解決できることに魅力を感じている」と切り出した。
寺崎電気産業は1923年に創業し、日本で最初にブレーカーを独自開発した企業として知られる。配線用遮断器などの電気機器製品、船舶用配電制御システムのほか、ビル用配電制御システムなどの産業用システム機器などの事業を行っている。グループの従業員数は2115人。英文表示の「TERASAKI」を逆から読むと、「活かされて」と読めることから、創業100周年に合わせたスローガンにも「活かされて」を用いている。
同社では、2023年に打ち出した「10年成長ビジョン」で、生産拠点や設備の拡張とともに、基幹システムの更新を盛り込んでおり、この中でCelonisの活用を進めている。
現在「SAP S/4HANA」へのマイグレーションを進めており、2022年までにハードウェアをオンプレスからクラウドへと移行して、インフラ基盤を強化。2023年から移行プロジェクトを本格化させ、2024年からSAP S/4HANAマイグレーションプロジェクトを開始している。
社頭氏は、「SAP S/4HANAマイグレーションプロジェクトは、労働力不足や急速な業務プロセス改革の経営課題に対して、内部統制を強化しつつ、人手がかからないように、業務を効率的に進めるために、新しいITの導入と活用教育を推進している。これによりDXを推進するのが狙いになる」と位置付け、「そこに、Celonisによるプロセスマイニングプラットフォームを採用した。業務プロセスをデータから可視化し、良い流れを考え、業務効率化につなげること、業務手続きが順守できていることをモニタリングして、不正発生を抑止することを目指した」という。
内部統制を強化するほど、間接部門ではモニタリングに対する負荷が増加し、人手不足の課題がさらに深刻化するほか、確認不足のリスクが存在すること、国際標準化機構(ISO)をはじめとしたさまざまなマネジメントシステムに合わせた複数の業務プロセスが存在しているため、業務担当者が変わるごとに現場での混乱が発生して、生産性が悪化しているといった課題があった。
「SAP S/4HANAの導入に合わせて業務プロセスの整備が必要であり、その課題を解決するのは、データを可視化できるプロセスマイニングしかないと考えた。だが、業務改善によるインパクトを持った投資対効果(ROI)が出せないと経営陣の説得ができない。そこで、PoV(価値実証)のアプローチから開始した」(社頭氏)
PoV(価値実証)のアプローチ(寺崎電気産業講演資料より)